2014年2月26日(水)
米陸軍の大幅縮小方針
アフガン・イラク戦で財政難
第2次大戦前水準に
アジア重視戦略は継続
【ワシントン=島田峰隆】ヘーゲル米国防長官は24日、国防総省で記者会見し、現在約52万人規模の米陸軍の兵力を44万〜45万人規模へと、第2次世界大戦前の水準まで縮小する方針を発表しました。アジア太平洋重視の戦略については継続する姿勢を示しました。
これはヘーゲル氏が2015会計年度(14年10月〜15年9月)国防予算案の概要として述べたものです。「より小規模で有能な兵力」「技術的に進歩した敵を打ち負かすことのできる、急速に展開可能で自立した基盤」の重視と「効果的な核戦力」への投資を強調。「引き続きアジア太平洋地域に運用上の焦点と兵力を移す」と述べました。
陸軍が方針通りに縮小されると、第2次大戦に本格的に備えていた1940年の水準にまで減少することになります。
ヘーゲル氏は、海軍に関して原子力空母ジョージ・ワシントンの退役についても検討することを明らかにしました。
空軍では攻撃機A10、偵察機U2を退役させ、それぞれF35、無人機グローバル・ホークに変更。現在約19万人の海兵隊は18万2千人に減らし、2016年以降も軍事費の削減が求められれば17万5千人にまで減らすとしています。
国防総省が大規模な兵力削減計画を出した背景には、アフガニスタン、イラクの二つの戦争で悪化した財政事情と、両国からの駐留米軍撤退というオバマ政権の方針があります。
ヘーゲル氏は「米国の財政上の課題の大きさの現実を理解した予算だ」と語り、主に財政上の理由から余儀なくされた削減計画であることを強調しました。
アフガン、イラクの戦争で急増した巨額の軍事費は、財政危機の重大な要因となっています。昨年3月からは歳出の自動削減(10年間で約1兆2千億ドル)が始まり、そのうち軍事費は5千億ドルを削減することになっています。