2014年2月22日(土)
ウクライナ衝突 死者77人に
EU懸命の仲介工作
政府と野党 停戦合意か
【パリ=浅田信幸】ウクライナのヤヌコビッチ大統領は21日、欧州連合(EU)の3外相による徹夜の仲介工作のあと、反政権派と「停戦」合意に達したと表明しました。反政権側は直ちには同情報を確認していません。ロイター通信などが報じました。
3外相を派遣
EUは、20日朝から独仏ポーランド3カ国の外相をキエフに送り、ヤヌコビッチ大統領ら政権側と、ビタリ・クリチコ氏ら野党指導者の双方に対し、政治的解決のため「暫定政権樹立、総選挙の早期実施」の方向での合意形成を働きかけていました。報道によると、政府と野党指導者、3カ国外相が参加した協議は8時間続きました。
首都キエフの中心部「独立広場」では18日から始まったヤヌコビッチ大統領の退陣を求める反政権デモ隊と治安部隊の衝突は、一部で銃撃戦が展開されるなど深刻さを増しています。20日夜の保健省発表によると3日間の死者は77人にのぼりました。ロイター通信によると、ヤヌコビッチ大統領の「合意」発表後も、反政府勢力の一部が警官に発砲しました。
事態が深刻化する中、内外で暴力停止と政治的解決を目指す動きも急になりました。
ウクライナの議会は20日、当局に対し、発砲の停止、キエフ市内中心部からの治安部隊引き揚げ、デモ隊に対する行動の終結を求める決議を採択。
EUは20日夜、緊急の外相会議を開き、ウクライナに対する制裁を決定しました。暴力に責任を負うべき政権側・反対派双方の人物への渡航ビザの禁止、放水器や護身用防具など戦闘用装備の輸出凍結を内容としています。
制裁措置を発表したアシュトン外交安全保障上級代表は同時に、「事態を鎮め、政治的解決を見いだす対話」の開始をウクライナの全当事者に呼び掛けました。