2014年2月21日(金)
浅田 SP16位 フィギュア
【ソチ=勝又秀人】ソチ冬季五輪は19日、フィギュアスケートの女子ショートプログラム(SP)が行われ、浅田真央はジャンプの失敗が続き16位にとどまりました。金妍児(キムヨナ)(韓国)が首位。
鈴木明子は8位、村上佳菜子は15位で、20日のフリーに進みました。
ソチ発鼓動
スケートの限界押し上げた
大一番で、勇気を捨てなかった。浅田は、大技トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の軌道に入り、両腕を振り上げて跳び上がる。転倒し、会場にため息が広がった。SPを16位で終える。
トリプルアクセルは、今季一度も試合で成功していない。それでも、最大の持ち技にこだわった。「自分が思い描く、最高レベルの演技がしたい」。その一心で。
スケート靴をはいてから18年間、変わらない信念がある。
「いまの時代はジャンプだけでないといわれる。だけど、やっぱりジャンプが一番大事」
トリプルアクセルに挑み、3回転以上のジャンプを6種類すべて跳ぶ女子選手は、世界で浅田だけ。米国のワグナーは「スケートの限界を押し上げる存在」と称賛する。
その功績は、競技の進歩という尺度に照らすと、いっそう浮き立つ。
この4年、アクセルに挑んでは腰を打ち、採点表を見てはため息をついた。看板技を封印する、つらい時期もあった。
だが、可能性を信じつづけた。スケートの技術を基礎から築き上げ、持ちうる力の限りを氷上に描いてきた。
集大成となる大舞台で、彼女は技術の最高水準に挑んだ。自分を信じて、全能力をひたむきにそそぎ込んだ。その姿勢こそが、女子フィギュアにとっての宝物といえる。(勝又秀人)