2014年2月20日(木)
主張
2014国民春闘
賃上げで日本経済の再生を
2014年春闘は、全労連が「月1万6千円以上の賃上げ」をかかげるだけでなく、連合が5年ぶりに「1%以上のベースアップ(=ベア)」を要求するなど、新しい局面のもとでたたかわれています。
一方、財界側の経団連は「ここ数年と異なる対応も選択肢となり得よう」(『経営労働政策委員会報告』)として、これまでの「ベアは論外」「定昇の凍結も」との姿勢を変え、安倍内閣も及び腰ながら、財界・企業に賃上げを「お願い」せざるを得なくなっています。マスメディアも“ベアか一時金かが焦点”などと報道しています。
すべての労働者を対象に
この背景には、長年の賃下げと社会保障改悪による生活苦、目前に迫る消費税引き上げへの労働者の不満と怒り、個人消費の回復こそ「デフレ不況」打開のカギという国民世論の広がり、「内部留保のごく一部の活用で大幅賃上げは可能」をかかげた全労連などのねばり強いたたかいがあります。
もちろん、今年の『経労委報告』も「総額人件費管理の徹底」など、賃上げ抑制策はかたくなに堅持しています。それを打ち破るには国民的なたたかいが必要です。
日本共産党の志位和夫委員長は、今国会の代表質問で、賃上げこそ「経済の好循環」実現のカギであるとして「三つの政策」を提起しました。大企業の内部留保の一部を活用した賃上げ、中小企業支援を拡大しての最低賃金の抜本的引き上げ、雇用のルールの強化の実行です。こうした提唱は、賃上げの国民的大義と展望を示して、春闘を大きく激励しています。
今春闘ではまた、「世界で一番企業が活躍しやすい国」をめざす安倍内閣による、労働法制の大改悪とのたたかいも焦点となります。派遣労働の全面解禁と固定化、低賃金で解雇しやすい「限定正社員制度」の整備、残業代ゼロをねらう労働時間規制の緩和―などを許さないたたかいです。
労働法制大改悪は「多様な働き方の推進」と称して、低賃金・不安定雇用労働者の拡大をすすめる財界の要求に応えたものです。これでは、一部の組織された労働者の賃上げを勝ち取ったとしても、労働者全体の低賃金化がすすめられ、デフレから脱却はできません。
労働運動総合研究所の試算では、安倍「雇用改革」によって賃金は41兆9千億円も減少します。公務員賃金の引き下げは、さらなるマイナス効果を及ぼします。
全労連も連合も、「すべての労働者の賃金の引き上げ」「誰でも時給千円」をかかげ、非正規の賃金の底上げと均等待遇、中小・未組織労働者への賃上げの波及とともに、労働法制改悪による雇用破壊とのたたかいを重視しています。
国民的共同を広げて
日本共産党の第26回大会決定は、「党と階級的・民主的労働運動が協力して、広大な未組織労働者の組織化に取り組む」ことを提起しました。中小・非正規、未組織労働者の賃金・労働条件の引き上げをかかげ、文字どおりすべての労働者がわがこととして春闘をたたかうことは、未組織の組織化にも大きな展望を切り開きます。
そのためにも「賃上げと安定した雇用の拡大で日本経済の再生を」という国民的大義とともに、国民的諸課題をかかげて共同を広げてきた国民春闘の歴史と伝統を生かす取り組みが求められます。