2014年2月16日(日)
途上国の石炭発電
環境NGO 税金で支援しないで
税金で途上国の石炭火力発電事業を支援しないで―。日本の環境NGO(非政府組織)は、「JBIC(国際協力銀行)の石炭発電融資にNO!」プロジェクトを始めました。
この環境NGOは、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、気候ネットワーク、FoEJapanの3団体です。
石炭発電は、たとえ高効率でも他の発電に比べ、温暖化を引き起こす二酸化炭素(CO2)を大量に排出するのが特徴です。
気候ネットワーク理事の平田仁子さんは、「途上国も含めた温暖化対策が求められているときに、新たに石炭火力発電所を建てることは、長期にわたって膨大なCO2を排出し続けることになります。運転開始が2020年など、これからの途上国のエネルギー構造を大規模な石炭中心にする危険がある」と指摘します。
石炭発電をめぐっては昨年6月、オバマ米大統領が温暖化対策として、公的金融機関による海外での石炭火力発電事業への投融資規制を発表。その後、世界銀行や欧州投資銀行などが相次いで規制方針を掲げました。
その中で日本の動きは突出しています。昨年6月、安倍政権が閣議決定した「成長戦略」は国内でも「高効率火力発電(石炭・LNG)を徹底活用」し、「世界へ積極的に展開」と位置づけ。安倍首相は昨年来、みずから世界各国を訪問し、“トップセールス”を展開しています。
政府が100%出資する国際協力銀行は現在、インドネシア、インド、モロッコ、ベトナムの石炭発電事業への融資を検討中です。
その一つ、伊藤忠商事とJパワー(電源開発)が現地企業と組むインドネシアの事業は総額約4000億円。中部ジャワ州にアジア最大級の石炭火力発電所(出力200万キロワット)を建設・運営する計画です。
「土地や漁場を失う地元の住民は、“coal kills our future”(石炭が私たちの未来を殺す)と生活の糧を失い、環境が破壊されることに反対の声を上げています」とFoEJapanの満田夏花さん。住民や市民団体は、首都ジャカルタの日本大使館前で抗議行動を行っています。
環境NGO3団体は3日、国際協力銀行に融資見直しを求める要請書を提出しました。27カ国90市民団体が賛同しています。
JACSESの田辺有輝さんは言います。「気候変動対策にも、地域の持続的発展にも逆行する石炭発電に融資する前に、まず住民と話し合ってほしい。途上国支援というならば、持続的な再生可能エネルギーへの支援をすすめてほしい」
プロジェクトの詳細はhttp://sekitan.jp/jbic/