2014年2月14日(金)
主張
エネルギー政策
原発再稼働前提の計画やめよ
安倍晋三政権が東京都知事選への影響などを考慮して延期していたエネルギー基本計画の閣議決定が大詰めを迎えています。安倍首相は国会で「現実を見据え、責任を持って実現可能かつバランスの取れたものをとりまとめる」としていますが、計画のもとになる経済産業省の審議会の案は原発について「基盤となる重要なベース電源」と明記しており、計画が長期にわたって原発依存を続けるものとなる危険性は明らかです。原発は現在全国のすべてで停止しており、原発なしでも電力はまかなえているのに、再稼働前提の計画は作るべきではありません。
原発事故直視するなら
東日本大震災の発生から間もなく3年―。いまだに破損した原子炉からの核燃料の取り出しなどのめどが立たず、汚染水漏れなど新たな放射能漏れも相次いでいる東京電力福島第1原発の重大事故は、原発がいったん事故を起こせば制御できない危険がある、未完成の技術だということを浮き彫りにしました。危険性を直視すれば原発は直ちに廃止すべきであり、長期にわたって原発依存を続けようというのはまったく論外です。
安倍政権が閣議決定しようとしているエネルギー基本計画のもとになる、経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会が昨年末まとめた意見書は、原発について「エネルギー需給構造の安定性を支える基盤になる重要なベース電源」と、「基盤」「重要」「ベース」とことばを三つも重ねて位置付けています。まったく異例な表現であり、いまだに重大な被害をもたらしている福島原発事故への反省もなく、「原発ゼロ」を求める圧倒的な国民世論をも踏みにじって、原発依存を続けようという姿勢をむき出しにしたものです。
安倍首相がエネルギー計画の決定にあたって「現実を見据え」というなら、まずなによりも福島原発事故の実態と原発の危険性を直視することです。事故によっていまだに十数万人にのぼる福島県民が避難生活を送らなければならなくなっており、暮らしも地域も破壊されている実態だけみても、日本中どこでも原発を再稼働し運転することなどできないはずです。
政府や財界、電力業界などは、原発が停止し、石油や天然ガスなどを使った火力発電所の発電を増やしているため、輸入額がかさみ、経営も圧迫しているといいますが、だからといって危険な原発を再稼働し、原発依存を続けようというのは人命軽視、企業経営優先のきわみです。福島原発事故を起こした東京電力までが新潟県にある柏崎刈羽原発の再稼働を言い出しています。こうした姿勢はきびしく批判されなければなりません。
再生エネルギーへの転換
安倍首相がいうように「現実を見据え」というなら、全国のすべての原発がとまっていてもこの冬も電力は足りているという現実こそ重要です。原発はこのまま動かさず廃炉に向かえば「原発ゼロ」は実現します。原発の再稼働に費やす資金や技術を再生可能エネルギーの開発に回せば、安定したエネルギー供給も実現できます。「実現可能」という首相のことばでいえば、それこそ実現可能です。
原発の危険性を直視せず、原発依存にお墨付きを与えるだけのエネルギー計画こそ、実現が不可能になるのは明らかです。