2014年2月12日(水)
NSA情報で攻撃
米無人機 メディア報道
【ワシントン=洞口昇幸】米国が「テロリストの根絶」を理由に、他国で無人機による攻撃をおこない、多数の市民・非戦闘員の犠牲者を生み出している問題で10日、標的の特定では、携帯電話の位置情報を基にするなど米国家安全保障局(NSA)の技術に依存していることが報じられました。
これは、NSAによる国内外の大規模な情報収集活動を暴露したグレン・グリーンウォルド氏(元英ガーディアン紙記者)らが、新メディア「ファーストルックメディア」のニュースサイトで、匿名の米無人機の元操縦士の証言を基に伝えたものです。
報道によると、NSAは収集した膨大な電話通信記録から、テロリストが持つと思われる携帯電話を特定、その電話番号の識別(SIM)カードを基に追跡し、位置を割り出しています。イエメンやソマリア、アフガニスタンなどでの米兵の夜襲作戦や無人機攻撃は、こうした情報を基に実施しているとしています。
元操縦士の説明によると、米側がSIMカードで特定していることはテロリスト側も把握。例としてあげた人物は16枚もの異なるSIMカードを持ち、米側の特定を妨害するため、他人にカードを渡し、そのカードの入った携帯電話が関係のない人々に貸し出されているといいます。
元操縦士は、「夜襲や爆撃が起きた場所に電話が置かれていたことは把握している。しかし、誰がそこにいたのか、誰が電話を持っていたのか、われわれにはわからない」と語っています。
報道によると、NSAはこの件についての回答を拒否し、米国家安全保障会議(NSC)の報道官は「われわれの判断は一つの情報だけに基づかない」などと述べています。