2014年2月9日(日)
内戦時の虐殺再捜査
最高裁が判断
エルサルバドル
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中米エルサルバドルの最高裁は5日、1980年代の内戦中に国軍が45人の住民を虐殺したとされる事件について、再捜査を検察庁に命じる判断を示しました。中南米のメディアは「内戦の真相究明に希望を開くもの」(アルゼンチン紙「パヒナ12」7日付)など期待を込めて注目しています。
事件は、81年7月25日、同国中部の農村サンフランシスコアングロで発生。国軍部隊が殺害した犠牲者の中には多数の女性や子どもが含まれていたといわれています。
当時は、一握りの富裕層が牛耳る右派政権と米軍に支援された軍部が支配する体制を変革しようと立ち上がった左派武装勢力ファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)と政府軍の間の内戦が本格化した時期。事件は国軍によるFMLN掃討作戦の中で起こりました。
92年の内戦終結後、犠牲者の遺族や市民団体らが事件の責任者を告訴しましたが、検察庁は2006年にまともな理由を示すことなく捜査を中止。遺族らは10年に最高裁に対して捜査再開を求める訴えを起こしていました。
ロイター通信によると、最高裁の発表した声明は、サンフランシスコアングロで発生した「集団的殺害の真相を究明するために、真剣で徹底的かつ迅速な捜査を納得できる期限内に実行することを検察庁に命じる」と述べています。
エルサルバドル内戦下の人権侵害については、1993年に制定された恩赦法によって真相解明や責任者の訴追が阻まれてきました。
最高裁は恩赦法の違憲性をめぐる訴えも審理中です。
(菅原啓)