2014年2月8日(土)
教育委員長と教育長兼務
制度改悪 自民が別案検討
安倍政権がねらう教育委員会制度の改悪に関して、中央教育審議会(中教審)が示した案とは別の案を自民党が検討していることが7日までに分かりました。教育行政を決定する「執行機関」としての立場は教育委員会に残す一方、教育委員長と教育長(事務執行責任者)を兼ねる「代表教育委員」を設けて、地方自治体の首長が任命・罷免します。
教育委員長は現在、首長が任命する教育委員が互選し、教育長も委員から選任します。新たな案は、住民による合議体の組織が首長から独立して教育行政を決める現行制度を形骸化させる内容です。
中教審は昨年末、執行機関を首長に移し、教育委員会を付属機関にする案を答申しましたが、公明党が政治的中立性の確保が懸念されるとして異論を唱え、自民党内にも慎重意見が出ていました。しかし、新たな案も首長による教育行政の支配・介入を強める点では答申と同じです。来週から開始する公明党との実務者協議で提示する方針です。
解説
“首長の教育支配”本質は変わらず
教育委員会制度の新たな見直し案は、教委に執行機関を残すといっても名ばかりで、教育代表委員を通じて首長が教育行政を事実上支配・介入することにつながります。
戦前の軍国主義教育に対する反省から、首長から独立した住民の合議体が教育行政をコントロールするという現行制度の根幹を突き崩すものです。
教育委員会が国いいなり・首長追随ではなく、子どもの権利を最優先に考えて活動ができるように、委員会としての機能強化や教育委員の公選など教育委員会制度を拡充・強化する抜本改革こそ必要です。(深山直人)