2014年2月8日(土)
きょうの潮流
慌ただしくロシアに向かった安倍首相。ソチ五輪の開会式に出たあと、プーチン大統領との首脳会談にのぞみます。欧米の主要国が同性愛や人権問題などを理由に欠席するなかで、親密ぶりを示すつもりか▼時代を退歩させる歴史観で、アジアの近隣諸国はもちろん、欧米からも相手にされない安倍首相。せめてロシアとは信頼関係を、との思いがあるのでしょう。2人の話し合いは、くしくも日露開戦110周年の日に行われます▼孤立する安倍政権ですが、スポーツの場ではちがいます。冬季五輪史上最多となる87カ国・地域の若者と競い合う日本の選手たち。4年に1度の舞台は、正々堂々と力を尽くしたもの同士が友情や尊敬の念を深める機会でもあります▼開会式に先立つ競技では、日本勢が好スタートを切りました。新種目のフィギュアスケート団体で、男子の羽生結弦(はにゅうゆづる)選手が圧巻の演技。4回転ジャンプを含む攻めの内容で並みいるライバルを抑えました▼「夢の舞台を楽しんで、今できることをすべて出し切りました」。19歳のコメントもすがすがしい。モーグル女子の予選では上村愛子選手がベテランらしい落ち着いた滑りで決勝へ。20年間の集大成をぶつける、5回目の五輪です▼「オリンピックは自身の進歩や成長の具合が試される場」という上村選手。少しでも後退すれば、そこに立つことさえかなわない厳しい世界です。見るものの心を熱くする雪と氷の祭典。人類の進歩と平和の尊さをも映し出す、17日間の幕開けです。