2014年2月7日(金)
18年間 世間欺いた
佐村河内氏問題 代作者が謝罪
交響曲第1番 数年後「ヒロシマ」に変更
作曲家の佐村河内(さむらごうち)守さん(50)が別人に作曲させていたことを認めた問題で、桐朋学園大非常勤講師の新垣隆さん(43)が6日、東京都内で記者会見し「18年間、彼の代わりに曲を書いた。世間を欺いた。私は共犯者」と認め、謝罪しました。
新垣さんによると、知人を介して佐村河内さんからオーケストラ音楽の作曲依頼を受けて知り合い、その後18年間で20曲以上のゴーストライターを務め、報酬として700万円前後を受けました。
代表作とされた交響曲第1番「ヒロシマ」について新垣さんは「すぐには発売されず、数年後に(当初とは違う)『ヒロシマ』の名で発表されたときは驚いた」と述べました。
作曲の過程については、一例として、「私が幾つかのモチーフを提示し、譜面とピアノ録音を渡して彼が聞き、選んだものを基に私が全体を構成した」と説明。その際に普通に会話していたことを認め、佐村河内さんが聴覚を失ったとしていたことを否定しました。ただ、障害者手帳は見せられたことがあるといいます。
会見を開いた理由について、ソチ五輪フィギュアスケートに出場する高橋大輔選手の名を挙げ、「今公表しなければ、偽りの曲で演技したと言われることになる。高橋選手には知ってもらった上で、堂々と戦ってもらいたい」と話しました。
佐村河内さんに提供した曲については著作権を放棄する意向を示しました。
新垣隆さん会見要旨
新垣隆さんの6日の会見要旨は次の通り。
私は18年にわたり佐村河内氏の代わりに曲を書いてきた。彼が世間を欺いているのを知りながら、指示されるまま続けてきた共犯者だ。当初は軽い気持ちで引き受けた。彼を通じて私の曲が世に受け入れられ、うれしかったのは否めない。彼が有名になるにつれ、(代作が)明らかになるのではと不安になると同時に、これ以上、世を欺きたくない気持ちが大きくなった。
フィギュアスケートの高橋大輔選手が、ソチ五輪に私の曲を選んだことを知り、このままでは佐村河内氏と私のウソを強化する材料になってしまうと思った。高橋選手のショックを考え、今公表するか迷ったが、考えた末、会見を開いた。高橋選手、曲を聴いてくれた方、演奏家の皆さんに深くおわびしたい。
おわび
「赤旗」が、2010年7月の記事などで、佐村河内さんの交響曲第1番「ヒロシマ」を原爆の惨状を描き核兵器をなくす思いが込められた曲として紹介したことなど、事実と異なる内容を報じたことをおわびします。