2014年2月6日(木)
行政組織立ち上げ■セミナー■海外視察
カジノ誘致 踊る自治体
国民の反対 “見切り発車”
自民、維新、生活の3党が昨年12月5日、国会に提出したカジノ合法化法案。超党派の「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議連)の萩生田光一事務局長(自民党衆院議員、党総裁特別補佐)は「5月の連休明けには国会の議論が本格的になる」(1月20日、都内)と、今国会での法成立に執念をみせます。カジノ誘致をめざす地方自治体の動きも「法律を待っていたのでは間に合わない」(横浜市)と熱を帯びています。
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カジノ誘致の実動部隊となる行政組織を昨年末に立ち上げた大阪府・市に続き、横浜市が4月から誘致プロジェクトチームを庁内に設置し、新年度予算に1000万円を計上することを決定。北海道は1月30日、カジノ推進派の学者や事業者を講師にした道民向けセミナーを20万円かけて開きました。
千葉県議会は、自民、民主などの県議11人が1月21日、550万円の税金を使ってシンガポールのカジノ視察に出向いています。
「県民の判断」
沖縄県は、カジノ誘致関連の事業に、すでに6900万円の税金を投じています。
金額がとくに大きいのは外部に委託している「カジノ・エンターテイメント検討事業」で、2007年から6年連続で計4500万円余を支出。随意契約した委託先は地元の建設コンサルタント会社「国建」で、11、12両年度はこれに大手広告代理店「博報堂」が加わった共同企業体が受注しています。
和歌山、神奈川との3県で、日本プロジェクト産業協議会の指導を受けながら定期協議を行っており、これへの分担金130万円も支出しています。
沖縄県内では、早くからカジノ誘致に反対する県民の運動も進んでいます。
県観光政策課は「予算は議会のチェックを受けており、県民のご判断をいただいている。(カジノ)導入には県民のコンセンサスが前提になる」といいます。しかし、これほど巨額の税金が法律もできていない段階で支出されています。
あまりに拙劣
カジノは刑法185条、186条が禁じる賭博行為、賭博場です。特例法でこれを合法化する法案にたいしては国民の批判が強く、合法化法の成立を前提にした各自治体の動きはあまりに拙速、拙劣です。
しかも、もし推進派の思惑通りすすんだとしても、その後には、誘致をめざす自治体間の激しい競争が起きることになります。
カジノ議連の岩屋毅幹事長(自民党衆院議員)は昨年11月12日の議連総会で「カジノ設置は限定的にしたい。当面は1、2カ所、最終的には国内10カ所」とのべています。
全国のカジノ誘致運動は、自治体主導、民間主導のものを合わせて20カ所以上あります。
カジノの制度の基本、設置する区域の選定基準、評価要素も法律で決まっていない現段階で、自治体が投じた税金は、すべてムダに終わる可能性が高いのです。
「いろいろな制度、政策がすべて日の目をみることはできなくても、検討をすることに意味がある」(長崎県政策企画課)という判断で、“見切り発車”で税金を流し込み続けるカジノ推進運動に厳しい目が向けられています。 (竹腰将弘)