2014年2月3日(月)
きょうの潮流
原発の再稼働の前提となる、新規制基準への適合性審査が昨年7月から行われています。時々、審査会合の中継をインターネットで見ます▼電力会社と原子力規制委員会が専門用語でやりとりしており、昼をはさんで午前から夕方まで聞くのは辛抱が要ります。ただ、追加の調査やデータを規制委側から求められた電力会社が、なかなか首を縦に振らない様子が手に取るようにわかることもあります▼「調査は尽くした感がある。(自分たちの主張に)理解を得られるためには時間がかかる」といって、すでに提出した調査結果で“ご勘弁を”と要求するのです。いくら時間がかかろうと、審査に必要な調査は徹底してやるべきです。電力会社の姿勢は再稼働を急いでいるだけです▼審査で議論されている原発の新規制基準の以前の名称は「新安全基準」でした。昨年4月に規制委が名称変更を決定しています。変更理由は「(安全基準では)基準を満たせば、安全との誤解を招く」からというものでした。規制委の田中俊一委員長がそう言いました▼原発の「安全神話」が崩壊した今日、当然の変更です。でも、以前の名称を連呼する人がいます。安倍首相です。先週の国会答弁で、「世界で最も厳しい水準の安全基準」と繰り返しました。その基準で「合格した原発について再稼働を判断する」と▼言葉の問題で済まされません。原発の「安全神話」を再びふりまきたい政府の意向がここに表れています。もちろん、そうさせてはいけません。