2014年2月2日(日)
紛争軍事関与 強まる声
独政府 国民の反発必至
【パリ=浅田信幸】メルケル独政権の内部で、国際紛争解決のためドイツがもっと軍事的関与に積極姿勢をみせるべきだとの声が増大しています。しかし、ナチスによる侵略戦争の歴史を背負った国民の間には、軍を国外に派遣することには反発が強く、今後、国民的な大論議が繰り広げられそうです。
ガウク独大統領は1月31日、安全保障問題に関する国際フォーラム、ミュンヘン安保会議開幕の冒頭、国際システムの変化の速さや新たな挑戦を前に「これまでのように、よく知られたドイツの外交政策を続けるだけでは十分でない」と表明。国際紛争に軍事力行使を含めて「もっと素早く、断固として、実質的に」関与すべきだと強調しました。
象徴的な存在である大統領の発言は、昨年12月に発足したキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)の連立政権内部で力を増しつつある積極外交論を反映しています。
安保会議に先立ってシュタインマイヤー外相(SPD)は30日、「われわれにはもっと関与することが期待されている」と発言。フォンデアライエン国防相は31日、安保会議での発言で、「座して待つことは選択肢でない」「手段と能力があるなら、われわれには関与する責任がある」と述べました。
ただ軍事的関与の増大に国民の反発は必至です。同国は現在、アフガニスタンとバルカン半島に計5000人ほどの部隊を派遣しています。1月末に公表された世論調査によると、45%が軍は「すでに関与し過ぎ」、30%が「すでに十分」と回答しています。
また軍隊よりも外交と資金援助で紛争解決に資するべきだとの回答は58%に上っていました。