2014年2月2日(日)
「維新政治」のゆきづまり示す
日本維新の会の橋下徹共同代表が1日、大阪市長を辞職し、出直し市長選に踏み切る考えを明らかにしたのは、地元大阪で来年4月実現としていた「大阪都」構想の見通しが立たなくなった結果です。
橋下氏が固執する「都」構想とは、政令市である大阪市などをつぶし、その権限と財源を「都」に吸い上げ「一人の指揮官」がやりたい放題にできる仕組みをつくるものです。
大阪では1月31日に開かれた「都」構想関連の協議会で、四つ示されていた市分割後の特別区の区割り案を一つに絞り込む橋下氏の提案が、維新を除く全会派の反対で退けられました。
協力を要請していた公明党にまで反旗を翻された橋下氏は「議論の進め方が非常識。ビジネスの世界ではありえない」などと筋の通らない理屈で反発。松井一郎知事は「4案同時(の議論)でいけば時間切れ廃案になる。(来年11、12月までの)われわれの任期中に住民投票にかける案を示すことはできない」と挫折を認めました。
なぜ協議会で「都」構想が事実上の「廃案」に追い込まれたのか。その目的が市民利益に反しているからだけではなく、「都」構想の制度設計案があまりにもずさんだと明らかになり、期限ありきで強引に進める橋下氏らの手法に公明党も乗れなかったからです。
背景には、「維新政治」と「都」構想は暮らしと自治を破壊すると告発し、反対の意思を示してきた府民・市民の世論と運動があります。維新候補が掲げた「都」構想への参加に明確にノーを突きつけた昨年9月の堺市長選や大阪市をはじめとする府内各地でのたたかいはその象徴です。
この間の「都」構想への批判の高まりは、同構想を立党の目的とする大阪の「維新の会」と橋下氏の「存在意義」(同氏)そのものの行き詰まりと「維新政治」の未来のなさを示しています。
(藤原直)