2014年2月1日(土)
都の築地移転費急増
3926億円→5500億円
東京都が築地市場(中央区)を江東区豊洲に移転する計画をめぐり、豊洲新市場の整備費が当初計画(3926億円)より1500億円余も増大し、約5500億円にふくれあがることが31日、本紙の取材でわかりました。都は土壌汚染対策や建設費が急増することを理由にあげていますが、今後さらにふくれあがる可能性があります。
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都が2009年2月に策定した新市場整備方針で、新市場の整備費は用地費を含め総額3926億円としていました。ところが、建設費や土壌汚染対策費、基盤整備費が予想以上にかさんだため13年1月、総額4500億円に修正していました。
そのわずか1年後の今年1月には、総事業費をさらに約1000億円増やし、約5500億円に再修正していました。
これについて都は、昨年1月と比べ建設費が約900億円、土壌汚染対策費が90億円増加するほか、今年4月と来年10月に計画されている消費税増税分を見込んだためと説明しています。
都は13年11月に新市場施設建設工事の入札を行いましたが、4件のうち3件は入札不調となりました。同12月に行った3件の再入札の公告では、予定価格が1回目より407億円(64・9%)増の計1035億円にふくらんでいます。
築地市場の豊洲移転計画に対しては、市場関係者や都民から「築地市場の現在地整備で十分」「税金のむだ遣いだ」との声があがっています。
都知事選(9日投票)で、宇都宮けんじ候補=日本共産党、社民党など推薦=は「豊洲移転を見直す」と公約しています。舛添要一候補を推す自民党と公明党、細川護熙(もりひろ)候補を支援する民主党、結いの党はそろって豊洲移転を推進しています。
計画見直しを
日本共産党のかち佳代子都議
豊洲新市場計画は、欠陥土壌汚染対策、建設費用の増大、市場業者への負担増など深刻な問題が山積しており、これ以上、強引に進めるべきではありません。石原・猪瀬都政のずさんな方針に縛られることなく、新しい知事のもとで、市場関係者、都民、専門家などの参加で移転を見直し、再検討すべきです。
解説
ふくらむ費用市場会計圧迫
東京都は当初、老朽化した築地市場を現在地で再整備する計画をすすめてきました。ところが石原慎太郎元知事が豊洲移転方針を決め、東京ガスグループから土地を取得。猪瀬直樹前知事も移転計画を継承してきました。
しかし、新市場予定地は東京ガス工場跡地のため、ベンゼン、シアン化合物、水銀など有毒物質で高濃度汚染されていたため、汚染対策事業費がふくれあがっています。市場関係者、消費者、研究者から「食の安全が心配」「都の汚染除去対策は欠陥だ」と批判が渦巻いています。
しかも都は昨年12月、土壌汚染対策法に基づく汚染浄化の確認もせずに「安全宣言」を出し、工事着手を急ごうとしています。
事業費の急騰は、都の市場会計に大きな重荷となることは避けられません。都が説明してきた“築地で再整備するより、豊洲に移転した方が安い”という論拠も崩れることになります。
(岡部裕三)
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