2014年2月1日(土)
籾井NHK会長が釈明
「私的なコメント」
衆院予算委
日本軍「慰安婦」問題や秘密保護法について就任会見での発言が問題視されているNHKの籾井勝人会長は31日、衆院予算委員会に出席し、自身の発言について「記者会見におけます私の意見は私的なコメント」「会長としての会見の場との指摘を受け、その場で(発言を)取り消した」と釈明しました。その上で、「誤解を招き、本当に申し訳なく思っています」と述べました。
自身の去就については、「職責を全うしていきたい」と居座る姿勢を表明しました。
質問した民主党の原口一博議員は、籾井氏の「(秘密保護法は)通ってしまったから仕方がない」という発言について「(放送法に)真っ向から反しているのではないか」と指摘しました。これに対し籾井氏は「あくまでも放送法に基づき、不偏不党、公平公正、表現の自由などの原則を守って放送していくことに変わりはない」と語りました。
籾井氏を選出したNHK経営委員の任命責任について問われた安倍晋三首相は「経営委員としてお願いをした以上はお任せをしている」と述べるにとどまりました。
解説
自分の発言に責任取れぬ人物
不誠実答弁に終始
籾井勝人氏のNHK会長就任会見の発言は会長としての発言ではなかったのか。籾井氏は衆院予算委員会で「記者会見における私のコメントは私的な発言である」と答弁しました。だとすると会見は一切意味のないものになります。前代未聞です。自分の発言にいっさい責任を取らない、そんな人が、NHK会長でいいはずがありません。
民主党・原口一博議員は籾井氏が「取り消した」とされる「従軍慰安婦」発言については問わず、それ以外のNHKの報道姿勢にかかわる会見発言について問いました。
秘密保護法は「まあ通っちゃったので、いってもしょうがない」発言、安倍首相の靖国参拝については「ただ淡々と総理は靖国に参拝されましたのでピリオドでしょう」。秘密保護法の問題点は報じない、靖国参拝についてはもう報じないという宣言に等しいものです。
これが不偏不党・公平公正なあり方を求めた放送法から外れていないのか問われた籾井氏。答弁は「あくまで放送法にもとづいて放送する」と、事務方が渡したペーパーを繰り返し読み上げる不誠実なものでした。どの発言部分が「私的な発言」なのかもあいまいにして、責任逃れをはかりました。
唯一具体的な答弁は、NHK国際放送の政府が求める「要請放送」について、「受ける義務がある」と答えたことでした。しかしこれは原口委員が指摘したように「努力義務」(放送法33条3)です。国際放送の充実を叫ぶ籾井氏の真意は、NHKを政府の宣伝機関とすることであることを漏らした答弁でした。就任会見での「政府が右ということを左というわけにはいかない」とは確信的な発言だったのです。
首相に問われている経営委員会の任命責任についてもさらなる解明が必要であることが示されました。
(荻野谷正博)