2014年1月29日(水)
衆院代表質問 首相暴走と各党
安倍晋三首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が28日、衆院本会議で始まりました。自民、民主、維新各党の質問に対し、安倍首相は、改憲、集団的自衛権行使、原発など“暴走メニュー”の推進を改めて表明しました。
改憲 維新も応援団
安倍首相は、憲法改定ルールを定める国民投票法案について「いわば憲法改正の土俵とも言えるものだ。与党のリーダーシップにより議論を加速させ、早期に結論を得たい」と述べ、今国会で改憲論議を推進する考えを示しました。維新の松野頼久国会議員団幹事長への答弁。
松野氏は質問冒頭、「日本維新の会は『責任野党』として、外交安保・憲法改正については前向きな議論を進めたい」と述べ、首相の一部野党取り込みの呼びかけに応じて政権運営に積極的に協力する方針を表明。集団的自衛権の行使を禁じている現行の憲法解釈についても「国際情勢に合わせて見直すべきだ」と述べ、改めて補完勢力ぶりを露呈しました。
首相は有識者懇談会の解釈変更の議論を通して、「国民的理解が一層進むよう努力していく」と述べ、世論の説得を進める姿勢を示しました。
改憲に向け松野氏は「まず96条を改正したい」「憲法審査会で条文案の作成に着手すべきだ」と述べ、国会で与野党の議論を加速させるよう要求。首相は「国民の中での議論の深まりを踏まえ、しっかりと着実に憲法改正に取り組んでいきたい」と表明しました。
原発 ゼロ政策放棄
安倍首相は、エネルギー政策について、「現実を踏まえると、そう簡単に『原発はもうやめた』というわけにはいかない」と述べ、原発推進、ゼロ政策放棄の考えを改めて表明しました。
原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置付けたエネルギー基本計画について、安倍首相は「責任あるエネルギー政策の構築を目指して、さまざまな意見を踏まえて決定する」と表明。原子力規制委員会が定めた規制基準の適合審査を口実に、原発再稼働を進める意向を示しました。
原発輸出については、「世界では新興国における原発の導入は今後も拡大していくことが見込まれている」「世界の原子力安全の向上や原子力の平和利用に貢献していくことが責務だ」と明言し、推進する考えを表明しました。
籾井発言 コメントせず
安倍首相は、籾井勝人NHK会長の「慰安婦」発言について、「政府としてコメントすべきではない」とのべました。民主党の海江田万里代表が「公共放送のあり方にもかかわる」とただしたのに対する答弁。
籾井氏は会長就任会見(25日)で、「従軍慰安婦は戦争しているどこの国でもあった」などと暴論を連発。「政府が右ということを左というわけにはいかない」とも述べ、「放送の不偏不党」にも反する発言を行っていました。
安倍首相は「(NHKには)いかなる政治的圧力にも屈することなく、中立、公正な報道を続けてほしい」と述べ、発言内容の是非に言及することを避け、NHK会長としての資質にも触れませんでした。