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2014年1月29日(水)

主張

雇用と賃金

独りよがりがひどい首相演説

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 安倍晋三首相が施政方針演説で雇用と賃金が改善しているという認識を示したことに驚きました。有効求人倍率が、あの20万人を超える大量非正規切りで雇用崩壊におちいった2008年のリーマン・ショック時から回復したとか、昨年冬のボーナスが連合調査で前年比3万9千円増えたとか、「アベノミクス」が着実に成果をあげているかのような言いぶりです。

 これらの数字は実際は、成果として自慢するべきことではなく、むしろこのままでは「デフレ不況」から脱却できないという危機感こそ持つべきものです。

きびしさ増す実態

 安倍首相がのべた昨年11月の有効求人倍率が6年1カ月ぶりに1倍を回復したという数字は、まったく喜べるものではありません。正社員の求人倍率はわずかによくなっているものの0・63倍です。正社員の仕事を求めている人1人にたいして、募集が0・63人分しかないということです。1倍になったのは、パートタイムの求人倍率が1・16倍に0・16ポイント増えたのが大きな要因です。

 求人が増え、雇用が拡大していると首相はいいたいのでしょうが、実態はパート求人の増加です。仕事探しをあきらめ、求職者数が前月比0・6ポイント減っているなどの事実を含めて詳しく分析すれば、雇用は不安定化し、きびしさを増しているのが実態です。首相は、まずこの認識を明確にもつべきです。

 昨年の民間企業の冬のボーナスが前年冬より3万9千円増えたというようなことを、施政方針演説で成果であるかのように強調するのは実に奇異です。政府の努力で賃金がプラスに転じたといいたいのでしょうか。

 連合の集計を使ったのも意図的です。厚生労働省も経団連も結果を発表しています。経団連が2万7千円増、厚労省は2万2千円増です。大手製造業の労組が多いため一番高くなる連合の集計を使って高額に見せるずるい手法です。

 もともとボーナスは、そのときの経済情勢や経営者の判断で上下するもので、前年は夏冬ともに下がり、ここ数年は交互に上下しています。したがって家庭の将来が見通せる安定した収入こそ重視すべきです。毎月の賃金を上げるベースアップこそ必要です。

 安倍首相は、連合の調査を持ち出すなら、昨年春闘の賃上げ回答が前年比マイナス36円だった事実を直視すべきです。安倍首相は施政方針演説で「企業の収益を、雇用の拡大や所得の上昇につなげる」と相変わらずの企業収益優先論をとなえました。これでは賃金は上がりません。

 大企業は270兆円もの内部留保をため込んでいます。賃上げの資金は十分あります。大企業にたいして「内部留保の活用で賃上げを」と強く要請するとともに、政府ができる最低賃金の大幅引き上げと、そのための中小企業支援などに力をそそぐべきです。

賃下げ政策とたたかう

 企業収益優先論を改め、賃上げと安定した雇用を拡大する経済政策への転換なくして、経済の「好循環」はつくれません。安倍政権は今国会で、労働者派遣法改悪案などの雇用破壊法案を通そうとしています。非正規雇用の温存、拡大による賃下げ政策にほかなりません。賃上げと雇用の改善を求める大運動が求められます。


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