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2014年1月25日(土)

美辞麗句に隠し暴走メニュー

安倍首相の施政方針

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 24日に開会した第186通常国会。安倍晋三首相は施政方針演説で、バラ色未来が待っているかのような美辞麗句を並べる一方で、明文・解釈改憲、原発再稼働、米軍新基地建設の強行などの“暴走メニュー”を改めて提示し、民意に挑戦する姿勢を明瞭にしました。


外交・安保

「戦争する国」を狙う

 「集団的自衛権や集団安全保障などについては、『安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会』の報告を踏まえ、対応を検討していく」

 首相は、第2次内閣発足以来の国会演説では初めて憲法解釈の変更について明言。日本を「海外で戦争できる国」に大転換する方針をあからさまに示しました。憲法改悪についても「必ずや前に進んでいくことができる」と執念を示し、一部野党へ協議を呼びかけました。

 一方、初日から国会包囲行動が取り組まれた焦点課題の秘密保護法については一切言及しませんでした。「平和国家としての歩みは今後とも変わらない」などと、国民を欺きながら「戦争する国づくり」を着々と進める狙いです。

 米軍再編問題では「全力で進めていく」と述べ、沖縄県名護市長選で示された民意を顧みることなく、同市辺野古への新基地建設を強行する考えを表明しました。

 一方で首相は、「舟楫(しゅうしゅう)をもって万国の津梁(しんりょう)となし」という琉球王国の有名な銘文を引用し、沖縄をアジアの交流拠点として重視する考えを強調しました。

 しかし、この銘文は日本と中国・朝鮮半島の間にあって、平和的交易で繁栄した同国の成り立ちを述べたもの。中国・韓国との外交関係を自らの行為で踏みにじり、軍拡で中国・北朝鮮に対抗する首相には最もそぐわない文言です。

 昨年末の首相の靖国神社参拝で過去最悪レベルにまで悪化する日中・日韓関係をめぐっては、おりしも訪日したバーンズ米国務副長官が関係閣僚と相次いで会談し、中韓などとの関係改善を要求するなど、異例の対応を示し事態の深刻さが浮き彫りになっています。しかし、首相は演説で参拝について釈明もせず、関係改善策も示せませんでした。

経済・くらし

国民向け対策示さず

 安倍首相は演説で経済の「好循環実現国会」を改めて位置づけました。

 首相が演説で述べた「好循環」とは「企業の収益を雇用の拡大や所得の上昇につなげる。それが、消費の増加を通じてさらなる景気回復につながる」というもの。大企業がもうけをあげれば、いずれは雇用・賃金、家計に回ってくるという、古く破たんした“おこぼれ経済学”にしがみつくものです。

 大企業向けには、復興特別法人税の廃止、国家戦略特区の推進や設備投資減税や規制緩和など至れりつくせりの優遇策を列挙。「世界で一番大企業が活動しやすい国」を促進させようとしています。

 一方で、「4月から消費税率が上がりますが」と人ごとのように冷たく言い放ち、「経済対策により持続的な経済成長を確保する」と言うだけで、国民向けの具体的増税対策は示しませんでした。

 安倍首相は「景気回復のすそ野が広がった」と強調しますが、消費税増税を見越した駆け込み需要や、公共事業など巨額の補正予算による経済のてこ入れにもかかわらず、国内総生産(GDP)の伸び率は減速しているのが実態です。

 「この国会に問われているのは『経済の好循環』の実現」―。首相はこう力説しますが、日本経済に好循環をもたらすために重要なことは、賃上げと雇用の拡大を一体で実現することです。大企業がため込んだ270兆円もの内部留保を活用した賃上げと質の高い安定した雇用の拡大で家計を温め内需を活発にすることが好循環のカギです。

国壊す施策次々

各分野で責任を放棄

 「あらゆる人にチャンスを創る」―。安倍首相は演説の中で、こう繰り返し、高齢者や若者、女性の「可能性」を引き出すと胸を張りました。しかし、安倍首相が実際にやろうとしている施策は、どれも、「可能性」を引き出すどころか、押しつぶすものに他なりません。

 社会保障分野では、「消費税率の引き上げによる税収は、全額、社会保障の充実・安定化に充てる」といいながら、「受益と負担の均衡が取れた制度へと、社会保障改革を不断に進める」「毎年1兆円以上増える医療費の適正化をはかっていく」などと述べ、社会保障費の削減を正当化。医療や介護では、負担増やサービス切り捨てを行い、社会保障制度の解体を進めています。

 また、若者の「可能性」を引き出すカギは「教育の再生」と胸を張っていますが、打ち出す施策は、首長が介入できる教育委員会制度の改悪や道徳教育の教科化など、異常な管理統制と競争主義を学校現場に持ち込むものばかりです。

 一方、安倍首相が「日本が成長する大きなチャンス」といって積極的に推進することを表明したのが環太平洋連携協定(TPP)です。

 首相は「企業活動の国境をなくす」といって、アメリカを中心にした多国籍大企業の利益に奉仕する国づくりを強調。一方で、国民の主食であるコメ政策では、「生産調整を見直す」として、農家経営と需給の安定に対する国の責任放棄まで宣言する逆立ちぶりを際立たせました。

 原発については、「原子力規制委員会が定めた世界で最も厳しい水準の安全規制を満たさない限り、原発の再稼働はない」と言明。規制基準を満たした原発の再稼働は問題なしとの考えを示しました。

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