2014年1月19日(日)
NSAの監視活動継続
米大統領が改革案発表
同盟国首脳標的 必要なら
【ワシントン=洞口昇幸】オバマ米大統領は17日、ワシントン市内の演説で、“個人情報保護の権利の侵害、国民監視”との批判が強い米国家安全保障局(NSA)の膨大な情報収集活動の改革案を発表しました。米国民、外国人の監視継続を前提に、収集した情報は外部機関に保管するなど、運用面で制限を強化。同盟国首脳への盗聴を含む通信監視は「やむを得ない場合」との言い方で、必要なら行うとしています。
NSAの収集活動自体は「多くの(テロ)攻撃を阻止してきた」と正当化し、継続する立場。一方で「私たちの中核的な自由の権利が失われるかもしれない政府の行き過ぎた危険もより明確になった」と語りました。
改革案として、NSAの活動許可を審議・承認する裁判所に異議申し立てができる制度の整備も示しました。
オバマ氏は「市民的自由やプライバシー保護を支持する一方で、われわれを守り、世界を主導する力を保持する方法について重要な決断を下す」と述べ、情報収集活動を続ける意向を言明しました。
電話・電子メールの通信記録などを収集するNSAの活動は、スノーデン元米中央情報局職員が欧米メディアに暴露、昨年6月から明らかになりました。
その後、人権擁護団体「全米市民的自由連盟」(ACLU)や個人がオバマ政権に対して訴訟を起こし、ワシントン連邦地裁はNSAの活動は違憲性が高いと判断しました。
ACLUは同日、声明を発表。異議申し立ての制度の整備などは「当然で歓迎すべき改革だ」と述べながら、「全米国民に対する大規模収集・保持をやめるわけではないという決定は大問題だ」と批判しています。
国家安全保障局(NSA) 米国最大の情報機関で1952年に創設。長年存在が隠され、全貌は不明。職員数も未公表で数万人といわれています。本部はメリーランド州フォートジョージミード。通信情報の収集・分析、暗号解読を主な任務としています。