2014年1月17日(金)
独食肉加工 労使が最賃導入合意
時給1100円 政府決定を先取り
ドイツの食肉加工業の労使が時給7・75ユーロ(約1100円)の全国一律の最低賃金を7月から実施することで合意しました。政府は2015年から法定最低賃金を段階的に導入することを決定しており、今回の合意は、低賃金がはびこってきた産業分野で、最低賃金導入を労使間の労働協約で先取りする動きといえます。
全国一律の最低賃金の導入は、食品・飲食・旅館業労組(NGG)と使用者団体の食品・飲食業協会の代表が14日に合意。旧東独と旧西独の最低賃金の格差を7月からなくして全国一律の7・75ユーロとし、その後12月に8ユーロ、15年1月に8・60ユーロ、16年12月に8・75ユーロと段階的に引き上げます。合意に署名後、NGGのギュスター副委員長は「不当な低賃金を終わらせる第一歩だ」と強調しました。
ドイツの食肉産業では約10万人が働きますが、労組側によると1万5000人以上が請負労働者。派遣労働者を含めると3万人が非正規労働者といいます。請負労働者にはブルガリアやルーマニアからの移民労働者が多く、時給4ユーロ前後に抑えられていました。労使は今回の合意を非正規労働者にも適用するため、政府に「一般的拘束力宣言」を出すよう促しています。
ドイツでは、シュレーダー前政権が導入した「労働市場改革」後、短期の低賃金労働者が急増。東欧の移民労働者を低賃金で使用する企業も増え、社会的な問題になっています。(片岡正明)
一般的拘束力宣言 ドイツで各産業別の労使が合意した労働協約を労組員以外の従業員にも広く適用するため、労働省が行う行政措置。これにより、労働協約は未組織労働者にも拡張適用されます。