2014年1月15日(水)
遺族年金 適用対象制限を撤回
厚労省 被扶養者死亡でも支給
社労士らの批判を受け
生計の担い手を失った配偶者や子どもなどに支給される遺族年金について、厚生労働省は4月から支給対象を大幅に制限しようとしていましたが、社会保険労務士らの厳しい批判を受け撤回しました。10日、閣議決定した政令で明らかになりました。
国民年金の遺族基礎年金はこれまで母子家庭にしか支給されていませんでしたが、法改定で今年4月以降、父子家庭にも支給されるようになります。ところが同改定に伴って厚労省が示した政令案では、会社員(第2号被保険者)に扶養されている配偶者(第3号被保険者)が亡くなった場合、すべての遺族に年金を支給しないとしました。現行では亡くなった人が第3号被保険者でも、遺族と生計が同一で、年収が原則850万円未満であれば遺族年金が支給されていました。
さらに政令案では、遺族厚生年金についても、第3号被保険者が死亡した場合は支給しないとしました。
これにたいし年金相談にあたる社会保険労務士らは、会社員であった夫が病気で退職し、パートに出た妻の扶養を受け第3号被保険者となって死亡した場合に遺族年金が支給されないのは不公平▽これまで支給されていた遺族年金の受給権を政令改定で奪うのは権利の侵害だ―などと反発。全国社会保険労務士会連合会は昨年12月、「慎重な検討」を求める「会長見解」を発表していました。