「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2014年1月13日(月)

北米自由貿易協定発効20年

メキシコ農民 反対訴え行動

食料外国依存率4倍・農村7割貧困

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 米国、カナダとメキシコが結んだ北米自由貿易協定(NAFTA)は1日、発効から満20年を迎えました。同協定で2008年までに農産物の関税が完全撤廃されたメキシコでは年頭から、農民や農業団体が、NAFTAは食料主権を侵害し農業・農村を破壊するとして、反対行動に立ち上がっています。(菅原啓)


地図:メキシコ・シウダフアレス

 「農民は減り、農村に麻薬組織が増えた」―全国農業生産取引業連合(ANEC)など農業関連団体は2日、米テキサス州と接するシウダフアレスでNAFTAに抗議する行動を行いました。

安い農産物流入

 同連合によると、NAFTAで関税が撤廃され、米国から安い農産物が流入。農村人口の7割が貧困状態に追い込まれています。農業で暮らせず麻薬組織に加わる若者も増えています。

 報道によると、農民ら数百人がプラカードを掲げ、“人間の鎖”で国境の橋を一時閉鎖。政府に対して、農産物の価格保障のための補助金の増額を要求しました。

 政府や財界は米国との貿易総額が約5・5倍になったなどとNAFTAを擁護しています。これに対し、メキシコ国立自治大学経済研究所のホセ・カルバ氏は地元紙フィナンシエロ3日付で真っ向から反論しました。

 メキシコから米国への農産物の輸出額が1994年から2012年までに約3・3倍に増える一方で、輸入額も増えたため、農産物貿易での対米赤字は年間25億〜40億ドルで推移。NAFTAは「農村にとって否定的な結果をもたらした」と断じています。

主食も海外産に

 同紙によれば、食料の外国依存率は同時期に10%から43%にまで拡大。特にメキシコの伝統的主食であるトウモロコシの外国依存率は17%から33%になっています。

 90年代初め、メキシコではNAFTAを締結すれば“先進国の仲間入りができる”と盛んに宣伝されました。ホルナダ紙は12月31日付の社説で、メキシコの貧困人口が52%で20年前と変わらない水準だと指摘。「収入を先進国並みにするというNAFTAの約束はデータによってウソだと証明された」と批判しました。

 また農民関連団体による抗議行動では、メキシコも交渉に参加する環太平洋連携協定(TPP)も「NAFTAより悪い」と断固反対のスローガンが掲げられました。

 米国のシンクタンク経済政策研究所(CEPR)のウェイスブロット共同代表は7日、ラテンアメリカ情報通信(ALAI)に掲載した論評で、NAFTAがメキシコに与えた否定的な結果を列挙し、次のように述べています。

 「NAFTAがなければメキシコはもっとひどくなった、とは考えがたい。環太平洋同盟(=TPP)の提案が問題に直面しているのもこのためだろう」


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって