2014年1月10日(金)
ボリビア大統領演説 国の主権で投機規制を
77カ国グループ議長国に就任
【ワシントン=島田峰隆】南米ボリビアのモラレス大統領は8日、発展途上国でつくる「77カ国グループ」(G77)の新議長国就任にあたってニューヨークの国連本部で演説し、「資本主義は最も深刻な危機にある」と述べ、G77として世界の金融経済秩序の変革や持続可能な開発の追求などに取り組む方針を表明しました。
モラレス氏は、金融経済危機、気候変動、飢餓と貧困、経済格差などを例に、国際通貨基金(IMF)など従来の国際機関は「もはや資本主義の問題を解決できない」と指摘。「途上国や新興国にこそ連帯、補完、相互支援の世界をつくる責任がある。G77は歴史的転換期の変革の主要な担い手の一つだ」と語りました。そのうえで飢餓根絶と食料主権の強化、途上国の天然資源に対する主権の保護など、10項目の重点課題を挙げました。
このうち世界経済秩序の改革については、過度の規制緩和など弱肉強食の新自由主義経済路線を批判。「国民や国に奉仕する新しい金融経済制度をつくる」とし、米ドルに依存しない地域通貨の強化、投機など金融活動を国の主権で規制することなどを提案しています。
国際関係では「戦争と死の外交に反対して諸国民による外交を確立する」としてG77諸国の結束を強調。「生活を豊かにする支援、協力、連帯の枠組みを持った統合」を呼び掛けました。
モラレス氏の演説に先立って行われた議長国引き継ぎ式典で、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は「全人類の持続可能な未来を切り開くうえでG77諸国の結束、前進、貢献が役立つ」と強調。アッシュ国連総会議長は、来年が飢餓や貧困の半減を掲げたミレニアム開発目標の達成期限の年であり、「G77は重要な役割を担う。南南協力が持つ力の例であり、今後あるべき協力の先駆者だ」と期待を表明しました。
77カ国グループ(G77) 1964年の国連貿易開発会議(UNCTAD)初会合に合わせ、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの77の発展途上国が設立。67年、閣僚会議で活動規範となるアルジェリア憲章を採択。国連の枠組みの中で、途上国間の経済・技術協力の促進、開発・経済分野で加盟国の意見を調整し、先進諸国と交渉することを目的とします。現在、参加国は133カ国、国連加盟国の3分の2に達しています。