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2014年1月10日(金)

主張

大型開発の“膨張”

またバラマキを繰り返すのか

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 安倍晋三政権が大型開発事業の推進・復活の動きを本格化させています。消費税率を17年ぶりに引き上げる2014年度予算案は、公共事業費を2年連続で増加させ道路、港湾、空港などの建設・整備の予算を大きく上積みしました。“国は財政危機で、社会保障に回すお金がない”と国民に消費税増税を迫っておきながら、大企業やゼネコンのもうけのために不要不急の大型開発に巨額な税金をバラまくことは、まったくスジが通りません。

「強靱化」の始動

 一昨年末に政権復帰した安倍政権の2度目の予算となる14年度予算案で、公共事業費は13年度比12・9%増の5兆9千億円余となり、軍事費と並び優遇されました。

 中身も大型公共事業への大盤振る舞いの数々です。「1メートル1億円」といわれる東京外郭環状道路(外環道)を含む三大都市圏環状道路などの整備に1681億円も計上しました。船が来ないなど行き詰まりが明らかな「国際コンテナ港湾」(京浜港と阪神港)の機能強化には、昨年より46億円も増額して446億円も投じます。

 国民の命と安全を守るために緊急を要する「防災・減災」対策の伸び率の低さと比べると、対照的な手厚さです。しかも「防災」対策には、国民の批判を浴びて民主党政権時に一時凍結された八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の本体工事費を5年ぶりに復活させる費用まで紛れ込ませています。

 “公共事業費削減の流れを断ち切れ”と要求してきた日本建設業連合会がただちに歓迎表明したように、安倍政権の姿勢は大企業・ゼネコンの期待に応えたものです。

 14年度予算案での大型開発推進・復活の動きは、“序の口”にすぎません。「大企業の国際競争力の強化」を第一に掲げる安倍政権は、大型開発事業を「成長戦略」の大きな柱と位置づけ、「産業インフラの整備」などを大々的にすすめる構えです。昨年12月の臨時国会で成立した国土強靱(きょうじん)化法は、それを強力に推進する仕組みです。

 国土強靱化法はもともと政権復帰前の自民党が「10年間で200兆円の公共投資」を実行すると打ち出したものですが、あまりに露骨な大型開発推進の内容に国民の批判が高まったため、「防災・減災等に資する」などを法律名に書き足したものです。しかし、「国際競争力の向上に資する」ことが理念に明記されるなど当初の自民党構想と本質は変わっていません。

 同法にもとづき内閣に「国土強靱化推進本部」(本部長・安倍首相)が設置され、5月にも「基本計画」を閣議決定する方針です。政府が音頭をとる「国土強靱化」が呼び水となり、過去にムダと批判され凍結された海峡横断道路計画が復活する動きなどが表面化しています。国の財政をますます危機的にするムダと浪費の拡大を繰り返すのは絶対に許されません。

きめ細かな施策こそ

 「強靱化」という大風呂敷を広げ、乱開発をすすめることは防災そのものにも逆行します。

 老朽インフラの修復・整備こそ急がれます。自然災害から国民の生命や財産を守るため、建物やライフラインの耐震化、住宅密集地の解消、液状化対策など地域と住民に密着したきめ細かな施策を最優先にすべきです。そこにこそ政治の役割が求められます。


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