2014年1月5日(日)
安倍内閣 新エネ基本計画案 <上>
再稼働あおる日米財界
自民党議連も呼応
安倍内閣は、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会(会長・三村明夫新日鉄住金相談役名誉会長)が了承した「エネルギー基本計画案」最終案(昨年12月13日)を関係閣僚会議で確定し、1月中に閣議決定しようとしています。
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新しいエネルギー基本計画案は、東電福島第1原発事故を受け民主党政権が打ち出した「2030年代の原発ゼロ」目標を投げ捨て、原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置付けます。
原発再稼働の推進を明記し、実現の見通しも立たない危険な核燃料再処理(サイクル)事業も「着実に推進する」としています。原発押しつけ政治復活の指針となる内容となっています。
運営も異常
原発ゼロを願う世論に逆行の資源エネルギー調査会基本政策分科会は運営も極めて異常です。
昨年10月28日には、民主党政権当時から「国家安全保障上の観点からも日本は『原子力国家』であり続ける必要がある」(「日経」2012年9月13日付)と主張し続けてきた、ジョン・ハムレ元米国防副長官(米戦略国際問題研究所=CSIS所長)をわざわざ分科会に招き「原発を再開するしか選択肢はない」と語らせました。
分科会で出た原発推進に対する反対意見の併記を求める委員に対し、三村会長は「(併記は)恥ずかしい」と拒否。12月6日の計画原案提示からわずか1週間で審議を打ち切り、了承してしまいました。
経産省は、拙速な同分科会による計画原案了承(同13日)さえ待たずに、1週間も早く(6日)パブリックコメントの募集(意見公募)を開始。乱暴な“フライング”まで犯して再稼働を急ぐ姿勢です。
“今でしょ”と安倍政権に便乗する原発推進派議員らの動きも活発化。自民党議員がつくる「電力安定供給推進議員連盟」(細田博之会長)は、原発の新増設を「エネルギー基本計画」に盛り込むよう求める提言書を菅義偉官房長官に提出(昨年12月24日)しました。
財界の要求
原発推進に固執する背景には米国や日米財界の要求があります。
第50回「日米財界人会議」(米ワシントン市)は共同声明(同11月15日採択)で、「エネルギー源として原子力を引き続き活用していくことが重要である」と強調しました。声明の付属文書では「福島第1原発事故の経験を活かした最先端の安全技術を備える原発の輸出促進に向けて、日米両国が協力すべきだ」と求めました。
日本の経済同友会も「夏季セミナー 東北アピール」(同7月)で「新規制基準に基づく再稼働を着実かつ迅速に進める」ための体制強化を求めました。
(つづく)