2013年12月26日(木)
UR「改革」
家賃上げ、統廃合要求
行革推進会議が報告書
安倍政権の行政改革推進会議(議長・安倍晋三首相)の分科会はこのほど、「独立行政法人都市再生機構の改革について」と題する報告書をまとめ、発表しました。
報告書は、都市再生機構(UR)の今後について「大都市、地方都市での『都市再生』の役割を期待する」として、東京オリンピックや都市開発の国際展開戦略に取り組むことが重要としています。
賃貸住宅事業については、都心部のタワーマンションなど高額賃貸住宅については、「民間事業者に委ねることが適当」と強調。それ以外の賃貸住宅は「居住者の高齢化・低所得化が顕著」としたうえで、住宅セーフティーネット機能(高齢者や低所得者、被災者、障がい者、子育て世帯への配慮)を果たしていくことが、今後の役割と指摘しています。
「収益性が低く将来の改善が見込めない団地等」は、統廃合を加速すべきだとし、そのための実施計画を2014年度中に策定するとしています。
家賃については、15年度中に改定周期の短縮(現行3年ごと)や引き上げ幅の拡大等家賃改定ルールの見直しを図るとして、家賃値上げを求めています。
解説
高齢・低所得の居住者切り捨て
都市再生機構については、2007年の独立行政法人整理合理化計画で「組織形態の検討」が閣議決定され、10年、民主党政権時代の事業仕分けで「高齢者・低所得者向け住宅の供給は自治体または国に移行、市場家賃部分は民間に移行する方向で整理」とされました。また、同年の国土交通省「都市再生機構のあり方に関する検討会」では民営化は現実性に乏しいとして判断を先送り、さらに12年の閣議決定で「分割・再編し、スリム化」が明記されました。
今回の報告書は、こうした二転三転の流れのなかで出された経過があります。
報告書はUR住宅居住者の「高齢化、低所得化が顕著」としながら、戸数の削減と団地の統廃合を求め、いまでも高額な家賃の値上げを求めています。
13兆円超に上る負債を抱えていることを問題視していますが、国交省は国会で日本共産党の穀田恵二衆院議員の質問(12年7月)に「11年度末の財務諸表によると資産が負債を上回っているので債務(借金)超過ではない」と答えています。
報告書はUR住宅の現状を認めつつも、その改善を図るのではなく、賃貸住宅を一層削減・縮小し、都市開発の先兵としての機能を果たすことをURに求めるものとなっています。(党国民運動委員会・高瀬康正)