2013年12月24日(火)
きょうの潮流
230年以上も前の今頃です。英国海軍の探検家ジェームズ・クックが南太平洋上に浮かぶ美しいサンゴの島を発見。「クリスマス島」と名付けました▼長い間イギリスが支配した同島の周りには大小さまざまな島が散らばります。太平洋戦争中、日本軍と米軍が激しい戦闘を交わした諸島も少なくありません。クリスマス島も戦後、核実験場にされました。多くの島々が大国にほんろうされてきた人類の歴史です▼いままた、東シナ海の小島をめぐる日中の対立が激化しています。今後の自衛隊の増強方針を鮮明にした安倍政権。米海兵隊をモデルにした「水陸機動団」を新編するなど、離島の防衛を意識した軍事力の強化を打ち出しました▼安倍首相が得意げに口にする「国際協調主義に基づく積極的平和主義」の中身です。一方の中国も、海洋大国を前面に押し出し、海軍を増強するなど、力による対抗姿勢をあらわにしています▼ひとつの島や領土をめぐって国と国が争い、おびただしい血が流れ、自然が破壊される。力と力の争いは愚かな過ちをくり返すだけです。痛ましい教訓から学び、人類が生かす道は話し合いによる解決しかありません▼きのう傘寿をむかえた天皇は80年の道のりを振り返り、真っ先に戦争の悲惨さを語りました。そして、「平和と民主主義を守るべき大切なものとして、日本国憲法をつくり、今日の日本を築いた」と。その憲法を変えることを、ライフワークと言い切る安倍首相。「愛国」が聞いてあきれます。