2013年12月20日(金)
東京「お台場カジノ」構想
「街の真ん中に賭博場」住民ら不安
賭博場・カジノの合法化法案を自民、維新、生活など各党が国会に提出し、地方のカジノ争奪戦も激しくなっています。合法化後のカジノ設置先「最有力」と目される東京都江東区のお台場地区。徳洲会「裏献金」疑惑で辞意表明した猪瀬直樹知事のもとで進んできた、お台場カジノ構想とは―。(竹腰将弘)
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合法化法案 自・維・生活などが提出
猪瀬知事らが推進
安倍内閣の産業競争力会議国家戦略特区ワーキンググループは今年9月16日、「東京臨海副都心(台場エリア)における国際環境拠点の整備」という提案の聞き取りを実施しました。
提案者はフジテレビ、三井不動産、鹿島建設、日本財団の4者。これが現在すすんでいる「お台場カジノ」計画の本体です。カジノを含む巨大リゾート施設を江東区青海1丁目の約60ヘクタールの土地に建設するという計画です。
近くに学校が
お台場カジノは、米ネバダ州の砂漠の真ん中につくられたラスベガスとは違い、多くの人が住み、暮らす街のなかにおかれることになります。
風俗営業適正化法で、賭博でなく「遊技」とされるパチンコ店ですら、児童、高齢者、障害者を保護する施設の近くに出店することを禁じる規制を受けています。カジノは、刑法が禁じる賭博を特例で解禁する紛れもない賭博場です。
お台場カジノの予定地から徒歩10分以内の地域には、公立の小・中学校、幼稚園、保育所、児童館などの施設が多数あります。
近くの歩道で乳母車を押していた女性は、カジノ計画の存在を知りませんでしたが、「困ります。カジノができるなんて気持ち悪い」と話していました。
都は推進姿勢
東京都は6月に政府に提出した「国の施策および予算に対する東京都の提案要求」で、「カジノを含むIR(統合型リゾート)の整備が可能となるよう法整備を行う必要がある」と求めました。
1999年に「お台場カジノ」を言い出したのは石原慎太郎前知事(現日本維新の会共同代表)。石原後継として昨年12月に就任した猪瀬知事もカジノ推進論者で「カジノはおとなのディズニーランド」(3月13日、都議会予算特別委員会)、「(カジノ設置は)お台場がいい」(4月12日の記者会見)などと発言してきました。
都議会では「国際的な集客力を持つ観光資源の重要な要素の一つがカジノ」(自民・中屋文孝都議、3月13日の予算特別委)などと各党がカジノ呼び込みを迫ってきました。
カジノ事業に乗り出しているパチスロ機メーカー最大手セガサミーホールディングスの里見治会長は、昨年の都知事選前に設立された猪瀬氏の政治団体に10万円の個人献金をしていました。
日本共産党の清水秀子都議は6月5日の都議会経済・港湾委員会で、カジノ合法化は関連業界との癒着が常に問題になること、ギャンブルの社会的弊害が大きいことをあげ、「カジノ合法化の国民的合意は形成されていないのだから、東京都としては中止すべきだ」と迫りました。