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2013年12月15日(日)

主張

障害者権利条約

批准は法整備の新たな出発点

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 国連の障害者権利条約を批准することが、さきの臨時国会で全会一致で承認されました。障害のあるなしにかかわらず誰もが平等に暮らせる社会を実現するため、日本政府は国際的にも大きな責務を負うことになります。障害者をはじめ多くの関係者・団体の運動が実を結び、歴史的な一歩を刻んだものです。批准を契機に、障害者の人権と尊厳が保障される国内法のさらなる整備にむけ新たな出発点にすることが重要です。

運動が国を動かす

 2006年12月の国連総会で採択された障害者権利条約(発効08年5月、138カ国・地域が批准)は、障害のある人に、障害のない人と同等の権利を保障することなどを掲げた、21世紀に入って最初の人権にかかわる条約です。締約国政府に、福祉、教育、雇用、地域生活、政治参加などさまざまな分野で、障害にもとづく差別を禁止し、平等を促進する立法措置などを求めています。

 国際条約は、憲法に次ぐ位置にあり一般の法律に優先します。批准によって日本政府は、条約に反する国内の法律や制度を見直すことが迫られることになります。

 日本政府は07年に同条約に署名し、09年に一度批准に動きました。しかし、当時の自民・公明政権は、「応益負担」によって過酷な負担を強いる自立支援法の存続に固執するなど、条約にそって国内法の欠陥や不備を改めることに完全に後ろ向きでした。これにたいし障害者・家族などが「名ばかりの批准は時期尚早だ」「国内法の見直しと整備こそを急げ」と声をあげ、自立支援法違憲訴訟など全国でたたかいに立ち上がりました。

 この運動と世論により自立支援法廃止・新法制定の政府と訴訟団との「基本合意」、障害者が当事者参加する「障がい者制度改革推進本部」設置が実現し、障害者施策の改革・見直しが図られました。問題を残しつつも障害者基本法改正、障害者差別解消法制定など批准のための最低限の条件整備も促進しました。「私たち抜きに私たちのことを決めないで」という障害者の粘り強いたたかいが、政府を動かし、批准をすすめる最大の原動力になったのです。

 障害者の現状はまだまだ深刻で、課題は山積です。違憲の自立支援法の骨格を残したままの総合支援法を抜本的に見直すべきです。障害福祉サービスを受けていた障害者が65歳になると介護保険制度に移され新たな負担を強いられる実態はもはや放置できません。すべての難病患者・家族が安心して生活できる難病対策の法制化が急がれます。災害時に避難が困難な障害者を支援する仕組みなどを整えることは待ったなしです。

 安倍晋三政権は、条約批准の重い責任を自覚して国内法の整備に向けた真剣な取り組みをすべきです。障害者に「自助努力」「自己責任」を迫る社会保障大改悪を実行することは絶対に許されません。

急がれる権利保障

 1948年に採択された世界人権宣言から今年で65年です。その節目の年に、日本が差別撤廃と人権保障の国際的な到達点である障害者権利条約批准に踏み出したことは意義深いものがあります。

 日本の障害者法制と施策を、世界に恥じない水準に改善させるため、いまこそ世論と運動を大きく広げるときです。


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