2013年12月13日(金)
コロンビア左派系市長「解任」
市民 激しく抗議
南米コロンビアの首都ボゴタで住民本位の改革を進める左派系市長が検察当局から突然の解任命令を受けた問題で、多くの市民が改革つぶしの「クーデターだ」と抗議に立ち上がり、検事総長の辞任を求める声が広がっています。
報道によると、オルドニェス検事総長は9日、ボゴタのグスタボ・ペトロ市長がゴミ収集事業について混乱を引き起こしたとして、同市長の解任と15年間の公職追放を決定したと発表しました。
ペトロ市長は2011年の選挙で左派系新党を立ち上げて当選。12年1月に就任し、富裕層への増税を財源に、貧困世帯の水道料金の引き下げなどの政策を実施してきました。
民間企業数社が担っていたゴミ収集事業については、公営企業を立ち上げ、民間企業と競争しながら雇用拡大を進めてきました。
検事総長はペトロ市長の公営企業優先の方針が、企業の自由な競争を「制限する」憲法違反に当たるとして、今回の命令を正当化しています。
解任命令の報道が伝わった9日から、多くの市民が街頭に出て、選挙で市民が選んだ市長を一方的に解任する暴挙に抗議しています。
市民らは「私は“人間的なボゴタ”(ペトロ氏の選挙スローガン)を選んだ。私の投票を守る」などのプラカードを掲げて市内各地でデモ行進。中心部のボリバル広場には一時約4万人が集まり、解任命令の撤回と検事総長の辞任を要求しました。
ペトロ氏は解任命令を受け入れず、異議申し立てを行う構え。検事総長については「ルールを操作し、憲法を踏みにじっている」、意見の違いを認めない「ファシストだ」と批判しています。
地元メディアは、同総長が解任措置の発表を事前に、次の市長選出馬を狙っている右派政治家に報告していたと指摘。解任劇の背景に、ウリベ前大統領など右派勢力の有力者の影がちらついていることを報じています。
批判の動きは、検察の元幹部にも拡大。モラレス元検事総長は10日、オルドニェス氏の解任を要請する書簡を国会議長に提出しました。(菅原啓)