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2013年12月11日(水)

首長が教育行政支配

中教審分科会 教委を首長付属機関化

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 中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の教育制度分科会は10日、首長を教育行政の執行機関とし、教育委員会を首長の付属機関とする答申案を、強い反対を押し切って決めました。13日の中教審総会で決定し、答申する構えです。

 答申案は現在の教育委員会制度について「スピーディな対応ができず、危機管理能力が不足している」と決め付け、首長が任免する教育長を通して教育行政を支配するという大改悪を打ち出しました。

 教育委員会制度の見直しは、安倍内閣が設置した教育再生実行会議の提言(4月)で首長の権限を強化するよう求めていたものです。

 教育委員会は現在、教育方針の決定や教科書採択を行う合議体の執行機関。その下に置かれた教育長が具体的事務を行っています。

 答申案は首長を執行機関とし、大綱的方針も首長が策定するなど、教育行政に関する権限を首長に集中。教育委員会は首長の「特別な付属機関」となって審議などを行うだけとなります。学校の設置や管理、教職員や事務局職員の人事、教育内容、教科書の採択など一切の教育行政は、首長が直接、任命・罷免する教育長が行うことになります。

 一方、答申案には、反対意見を反映し、教育委員会を執行機関として残す「別案」も掲載されました。 

 「その時々の権力が都合のよい教育をしてはならないことは歴史が示している」などの反対意見が討論の最後まで相次ぎましたが、小川正人分科会長(放送大学教授)は「一任していただきたい」と討論を打ち切りました。

解説

意見聴取で懸念相次ぐ

 今回の答申案は、戦後の民主主義の柱にすえられた教育委員会を実質的に解体するものです。17回に及ぶ中教審の議論や関係者への意見聴取では毎回、首長権限の強化に対する懸念が相次ぎ、合議制の執行機関として教育委員会を存続すべきとの声があがりました。

 教育委員会は、数人の教育委員が合議し、その地方の教育に関する事柄を決めるという合議制執行機関です。合議は、さまざまな見解がありうる教育を、首長や地方議会の多数決で押し切らずに、広く民意を反映させていくための戦後民主改革の一つです。それを廃止することは重大な問題と言わなければなりません。

 教育行政を首長の直轄とすることで、すでに東京や大阪で横行しているように、政府や首長の意向に沿った教育介入が教育現場に持ち込まれ、異常な競争主義など日本の教育のゆがみをいっそうひどくすることは明白です。

 教育委員会は戦前の軍国主義教育の反省から、首長による支配を排し、住民による合議体の執行機関として発足しました。しかし、教育委員の公選制の廃止など教育委員会の機能を十分に果たせなくしてきたのが、戦後の自民党の教育行政です。改革をいうなら、戦後の原点に立ち返って教育委員会制度を住民本位に改革することこそ必要です。

 こうした背景には、安倍晋三首相が私的諮問機関にすぎない教育再生実行会議の提言の具体化を猛スピードで進めていることがあります。道徳の教科化、教科書検定制度の見直しなど戦争できる国づくりと弱肉強食の経済という国策に従う人づくりを進めるための先がけが教育委員会「改革」です。 (浜島のぞみ)

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