2013年12月10日(火)
NHK「日曜討論」 市田書記局長の発言
日本共産党の市田忠義書記局長が8日放映のNHK番組「日曜討論」で行った発言は次のとおりです。
秘密保護法
審議するほど危険な本質が――違憲立法の廃止を目指し頑張る
秘密保護法の衆参での強行採決について自民党の石破茂幹事長は「衆院段階で濃密な議論がなされた。参院も十分に近い(審議)時間が取られた」と発言。法案採決に退席した維新やみんなの党は、「拙速」「審議の打ち切りには反対」としながら、「70点くらいのところで合意して中身には賛成した」(松野頼久・日本維新の会国会議員団幹事長)、「法案には賛成。土・日で審議していれば本会議場で態度表明できた」(浅尾慶一郎・みんなの党幹事長)など秘密保護法成立を容認する立場を表明しました。
市田氏は次のように述べました。
市田 審議をすればするほどこの法律の持っている危険な本質があらわになる。それを恐れて強行採決を行ったというのが本質だと思います。日本弁護士連合会、ノーベル賞を受賞した学者、演劇人、映画、文化人、俳優、宗教者など、これほど短期間にこれだけ多くの分野の人々が反対の声を上げた法案も珍しい。今朝の新聞で見ますと、法案が成立した直後の世論調査でも76%が審議は十分尽くされていないと答えている。慎重審議を求める声は(成立)以前からも8割前後だったし、反対の声も審議をすればするほど多くなる。それを恐れた強行採決だったと思います。何よりこの法律は、恣意(しい)的に秘密の範囲を広げることができ、国民にも秘密は知らされない。(秘密を)漏らした人、知ろうとした人まで処罰の対象となる。今日はくしくも12月8日、太平洋戦争が始まった日ですけれども、そういう戦争への道に突き進むために、国民の目と耳と口をふさぐ。これは違憲立法なので、廃止を目指してがんばりたいと思っています。
「修正」でも危険な本質変わらず国会議員まで罰せられることに
安倍晋三首相が会期末の2日前に突如として「特定秘密」指定の妥当性などをチェックするとする第三者機関や国会内での監視委員会を言及したことについて、石破氏は「法施行までに運用についてつめるのがわれわれの責任」と述べました。
市田氏は次のように語りました。
市田 チェック機関とか「修正」とか言わざるを得ないというところに、この法律の持っている本質的欠陥が示されている。いかに秘密の範囲が恣意的に広げられるかということの証明です。しかも、その「修正」による、チェック機関が法律に書いてあるのは付則だけです。付則では検討と書いてあるだけで、これは実施するかどうかも分からない。中身は答弁者によってころころ変わる。こんな「修正」合意で賛成した諸党は文字通り自民党、公明党への補完勢力だということのあらわれです。
答弁で総理や官房長官が言ったのは、参議院の委員会の最終日の前の日です。何の担保もない。4党合意なんて密室でやられたものを持ってこられて、法律上の担保も何もない。国会では一切審議されていないもので、この法律の危険な本質がなくなったなんて絶対にいえない。ごまかしも甚だしいと言わざる得ない。
秘密保護法でどうなっているかというと、国権の最高機関である国会に、秘密を開示するためには秘密会でなければだめだというのです。それであっても、行政府の長がノーだと判断すれば、国の安全保障に重要な支障をきたすと判断すれば開示しなくていい。それ(特定秘密)を聞いた国会議員が“これは重大だ”と思って自分の後援会に行ってこういうことが問題になっているといえば、漏らしたといって罰せられるというその決まりは全く変わっていません。それを今頃になって、成立した翌日に石破さんがこんなことをおっしゃっても、全く法律の本質を変えるものではない、何の意味もない。
中国防空識別圏問題中国による一方的設定、撤回を 多国間の冷静な外交交渉で解決を
中国が一方的に設定した防空識別圏がテーマとなり、各党とも「まったく認められない」「撤回を求める」と発言しました。市田氏は次のように述べました。
市田 今度の中国の一方的な防空識別圏の設定は撤回すべきです。二つ理由があります。
一つは、日本が実効支配している尖閣諸島。その上空を含めて識別圏を設定し、あたかも尖閣諸島を自分の国の領土であるかのように扱っているという点が第1点。それに加えて公海上の広大な空域を、まるで自分の国の領空であるかのように扱って、その空域を飛行する航空機に対して、中国が一定の手続きを求める。従わない場合は緊急の防御的措置をとるというやり方は、国際法上の公海上空の飛行の自由を制限、侵害する。これは絶対に許されない行為であって、撤回すべきです。
同時に、日中双方にとって大事なのは、軍事的な緊張を高めるような対応は絶対に慎んで、多国間で冷静な外交交渉によってこの問題を解決するという方向をとるべきだというのがわれわれの立場です。
自民党の石破氏は、「前段は同じだ」としつつ、「軍事的なバランスは取らなければこの地域の平和と安定を保つことはできない」と主張。それに対し市田氏は「軍事的な対応でなく、冷静な多国間の外交交渉で解決するという立場に立つべきだ」と重ねて強調しました。
普天間基地「移設」問題「オール沖縄」の声無視する暴挙痛みは移すのでなく取り除け
普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「移設」問題がテーマに。自民党本部が県連や所属国会議員に「県外移設」を撤回させたことについて石破氏は「あの住宅地の真ん中の基地の移設をしなければという思いで決断してくれた」と述べ、民主も「辺野古移設が現実的」、維新も「われわれも協力する」と同じ立場を強調しました。市田氏は次のように語りました。
市田 (名護市)辺野古への新基地建設を認めなければ普天間基地が固定化されても仕方がないという脅しで、選挙での(沖縄の)自民党議員の公約も裏切らせ、「オール沖縄」の声に一切耳を貸さないで、何が何でも辺野古に新基地を建設する。私はこういう自民党と石破さんの取られた行為に厳しく抗議しておきたい。「オール沖縄」の声は、普天間基地の撤去と同時に、辺野古に新基地建設を許さないというもので、それを無視した暴挙は必ず破綻する。痛みはどこかに移すのでなくて、取り除くものです。
抑止力ということを言われたけれども、アメリカの海兵隊は、ワインバーガー(元米国防長官)もチェイニー(同)も日本を守るために存在するものではないと言っている。石破さんの先輩の久間(章生・元防衛相)さんだって最近書かれた本の中に、“在日米軍は日本を守るために存在するのではない。海外への出撃基地に沖縄の基地が使われている”といっておられるわけで、抑止力どころか侵略力の強化であって、絶対に許されないということ申しあげておきたい。