2013年12月8日(日)
きょうの潮流
ナチスの戦犯アイヒマン裁判で、悪とは人間とは何かを問いかけたユダヤ人哲学者ハンナ・アーレント。思考を放棄し、命令に従うことで大量虐殺を遂行してしまう。その悪の凡庸さ、陳腐さを訴えました▼「考えることで、人間は強くなる」という信念をもちつづけたハンナ。彼女はベトナム戦争に関する米国防総省の秘密文書を「あらゆる種類の偽り」と分析しました。そして、虚偽を操作し、戦争に進んでいった政府の本質をえぐりました▼72年前のきょう、日本の天皇制政府はアジア・太平洋戦争に乗り出しました。国防保安法や治安維持法で国民をしばりつけ、「自衛」のためとだまして。領土拡張の侵略戦争は、日本とアジアで多大な犠牲を生みました▼それを反省するどころか、また同じ道をたどろうというのか。新たな司令塔をつくり、国民から事実を知る権利を奪いとる秘密保護法を強行した安倍自公政権。ふたたび日本を戦争に巻き込むための準備を、数の横暴でごり押ししています▼しかし戦前とはちがいます。時代を逆戻りさせる政権に対する、国民の熱いたたかい。瞬く間にひろがった怒りの輪は、国会を取り巻き、全国の空に抗議の声をとどろかせました。戦後70年間、育んできた民主主義の成果でしょう▼もう一つ。国会の内外で国民のたたかいに連帯した日本共産党の存在があります。終始一貫して悪法に反対し、危険性を暴き、政府を追いつめてきました。戦前から命をかけて戦争に反対してきた党の真骨頂です。