2013年12月4日(水)
奴隷制度廃止国際デー
幼児も売買、危険な作業強制
国連総長、対策訴え
【ワシントン=島田峰隆】国連の「奴隷制度廃止国際デー」の2日、潘基文(パン・ギムン)事務総長など国連関係者が、途上国を中心に今でもみられる奴隷状態をなくすために、国際条約の批准や国内法による禁止など各国に取り組みの強化を訴えました。
国際労働機関(ILO)によると奴隷状態に置かれている人は世界全体で女性や子どもを含む2100万人で、犯罪集団による人身売買、児童労働、紛争への強制徴兵、強制結婚、性的搾取などにさらされています。
潘氏は同日のメッセージで「今日の奴隷制度は経済的理由による移住者、女性などを含む最も貧しく、社会から最も排除された人たちを苦しめている」と指摘し、奴隷制度廃止補足条約の批准や国内法による取り締まり強化を各国に求めました。
アッシュ国連総会議長も同日のメッセージで、特に人身売買の根絶を呼び掛けました。
国連人権理事会の奴隷制の現代的諸形態に関する特別報告者、グルナラ・シャヒニアン氏は2日、最近視察したガーナの状況を述べたメディア向け文書を発表しました。
同氏は「子どもたち、なかには4歳の幼い子どもが漁業の町へ送られ、無給で危険な作業をさせられ、教育の機会を奪われている」と強調。鉱山での強制労働、強制売春や家事労働での奴隷状態などもみられたとしています。
同氏は、この背景に貧困から脱出するために貧しい地方から都市への移住を余儀なくされる人が多いことを指摘。「奴隷状態の根絶は、貧困や地域間格差、教育や医療体制の欠如などの根本原因をなくすことでのみ達成できる」と訴えました。
奴隷制度廃止補足条約 債務奴隷や農奴、強制結婚、児童労働を含む強制労働など、奴隷と奴隷制に類する制度・風習を禁じる条約です。1926年に国際連盟が締結した奴隷条約を継承、補足し、1957年4月30日発効しました。現在、123カ国が加盟。日本は未批准です。