2013年12月4日(水)
秘密保護法案は廃案しかない
市田書記局長が中谷自民副幹事長と議論
BSフジ番組
日本共産党の市田忠義書記局長は2日、BSフジの番組の「プライムニュース」に出演し、秘密保護法案について自民党の中谷元・副幹事長(与党「修正」案提出者)と討論しました。キャスターはフジテレビ政治部編集委員の反町理氏とアナウンサーの八木亜希子氏。
第三者機関の設置
八木氏は、「修正」案に「秘密」指定の妥当性をチェックする第三者機関設置の検討が盛り込まれたことを紹介。市田氏に「問題点はどこだとお考えですか」と聞きました。
市田氏は、チェック機関を「修正」協議で議論せざるをえなくなったのは、国民には何が秘密かも知らされないまま、政府の判断で「秘密」の対象を際限なく広げられる同法案の本質に、国民の不安や批判の声が高まったことにあると指摘。そのうえで、第三者機関については「設置の検討だけだ。それが独立した機関なのか、内閣の中に設けるのか、確定的ではない」と述べ、「法案の危険な本質が修正で改善されるものではない」と強調しました。
中谷氏は「1年以内に設置すると決まっている」と表明。「情報漏れを防ぐ意味では、内閣から外へだすわけにはいかない」と述べました。
市田氏は、第三者機関の形態が国会で答弁者によって異なっていることを紹介。「いいかげんなしろものだという証明だ。内閣の中につくるのが、どうして独立した機関なのか」と指摘しました。反町氏も「内輪のチェックという印象。第三者機関をチェックする第四者機関が必要になる」と疑問を述べました。
国会の立法権・ 調査権侵害 原則は公開
中谷氏は「最大のチェック機関として国会が機能する規定を盛り込んだ」とも発言しました。
市田氏は、行政機関の長が「国の安全に支障をきたす」と判断すれば情報は開示されないことや、開示されても秘密会で所属政党や国民に知らせることもできない法案の仕組みを説明。「国会の立法権、国政調査権を著しく侵害する」と批判しました。
市田氏は情報公開のあり方については、「行政が握っている情報は、公開が原則だ」と指摘しました。
そのうえで同法案についての各省庁間の議論の情報開示を求めても全く開示されなかったことを、黒塗りの資料も示して説明するとともに、米国の核兵器を搭載した船が日本に寄港する場合に事前協議の対象とならないとする日米の「密約」を歴代政府が隠してきたことを紹介。「今でも秘密だらけ。そんな政府に秘密保護法をつくらせたらどこまで広がるかわからない。暗黒社会になる」「国の進路にかかわる外交や安全保障(に関する情報)こそ、国民の前に明らかにしていくべきだ」と強調しました。
秘密指定期間
八木氏は、「修正」協議で、秘密と指定できる期間が原則30年から「最長60年」となり、さらに7項目の例外を設け延長できる法案となったことをパネルで提示。視聴者から「政府の都合の悪い情報が例外をつくることで永遠に秘密にできるのでは」とのメールが寄せられていることを紹介しました。
市田氏は、日米地位協定はすでに60年経過していることをあげ、「これから60年延ばすようなことがあれば、100年以上公開されないこともおこる。いっそう悪い方向だ」と指摘。さらに例外の7項目目には「政令で定める重要な情報」と書き込んでいることを示し、「政府の判断でいくらでも延長できることになる」と批判しました。
中谷氏は「60年の時にときの政府が(延長を)判断するが、6項目以外でも公開したらまずいというものがあるかもしれないということで、一応『その他』としている」と述べ、恣意(しい)的な判断で永遠に「秘密」にできる仕組みをつくりたい本音をあからさまに語りました。
八木氏は「市田さんの指摘のように歯止めがないことに、不安に思う人たちも多い」と指摘。「修正」で5年間秘密「指定」しなかった行政機関は、秘密指定機関から除かれることになったことにも「かえって5年間に特定秘密をつくろうという気持ちに(なるのでは)。本末転倒」と疑問を示しました。市田氏は、「八木さんがおっしゃったように、『駆け込み指定』が起こる。なんの歯止めにもならない」と述べました。
徹底審議し廃案を
中谷氏は法案について「論点も詰まってきた。会期の中で採決すべき」と述べ、6日までに強硬に成立させる考えを示しました。
これに対し市田氏は、産経新聞の調査でも8割が慎重審議を求めていることや、衆院の地方公聴会でも自民推薦を含む7人全員の公述人が、反対や慎重審議を求めたことを紹介。「中谷さんは、衆院で40時間以上も議論したと(言うが)、それで理解が深まったのなら賛成が増えるはず。(しかし)審議すればするほど賛成の人が反対にまわっている」と指摘し、「何が何でも6日までに通すというやり方は反対。徹底審議のうえ廃案にするべきだ」と主張しました。