2013年12月1日(日)
七生養護学校への教育介入
都議・都への賠償命令確定
最高裁が上告棄却決定
東京都立七生(ななお)養護学校(現七生特別支援学校)の性教育に一部の都議や都教育委員会が介入したのは違法だとして、当時の教員・保護者ら31人が損害賠償を求めた「こころとからだの学習」裁判で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は28日付で、原告、被告双方の上告を棄却する決定をしました。当時の都議3人と都に計210万円の賠償を命じた一、二審判決が確定しました。
同校では知的障害のある子どもたちの間で性的な問題行動が起きたことをきっかけに、教員が試行錯誤を繰り返し、保護者の理解も得ながら、体の部位の名称をおり込んだ歌や人形などを使った性教育を実践していました。これを2003年に自民党の古賀俊昭都議と田代博嗣都議(当時)、土屋敬之・民主党都議(同)が「不適切」と決め付け攻撃しました。都教委はこれに同調し、性教育の教材を没収、教員らを「厳重注意」にし、同校は工夫した性教育ができなくなりました。
一、二審判決は、3人の都議が同校の養護教諭2人を「感覚がまひしている」などと非難したことが、「侮辱」に当たるとともに教育基本法が禁じた不当な支配に当たると判断。都教委は不当な支配から教員を保護すべき義務に違反したとしました。
また、「教員の創意工夫の余地を奪うような指示命令を行うことは許されない」と指摘。同校の性教育は学習指導要領に違反しているとはいえないとし、「厳重注意」は違法だと判断しました。
判決確定を受けて、同裁判原告団・弁護団・支援全国連絡会は、「教育への不当介入が強められようとしている現在、教育の自主性を守り、本質を明らかにする上で、また子どもの権利としての教育を確立する上で重要な意義を持つ」との声明を発表しました。