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2013年11月30日(土)

主張

秘密保護法と国会

立法権縛る悪法廃案しかない

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 秘密保護法案の参院での審議が始まり、数を頼んで法案を押し通そうとする安倍晋三政権と国民の対決は、いよいよ正念場です。

 「安全保障」の妨げになるからと政府が勝手に軍事、外交などの行政情報を「特定秘密」に指定し、国民から「知る権利」を奪い、国民全体を重罰で弾圧しようという秘密保護法案は、「国権の最高機関」である国会の国政調査権をも制限し、立法権を制約する希代の悪法です。国会が審議を尽くして法案の成立を阻止することは、「唯一の立法機関」としての国会の責任ともいうべきものです。

「秘密」は国会にも秘密

 秘密保護法案は、「行政機関の長」が勝手に指定した「特定秘密」について、他の行政機関などへの提供は「安全保障上必要がある場合」に限定し、立法権を担う国会や司法権を担う裁判所に対しては、「公益上の必要」があっても、提供をきびしく制限しています。

 法案には国会などに「特定秘密」を提供するのは、あくまでも「安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき」と明記されています。法案の国会審議で答弁を担当している森雅子国務相は、外国から秘匿が求められたような「特定秘密」は提供しないと明言しました。行政府に国会に提供しない「秘密」を認めるなどというのは、国民主権の議会制民主主義を踏みにじる暴挙です。

 「特定秘密」を国会に提供する場合も、委員会を議員以外の傍聴を認めない秘密会にし、「特定秘密」は非公開にすることが条件です。法案は「特定秘密」の「利用又は知る者の範囲の制限」や保護のための「政令で定める措置」が講じられていることを求めています。行政府が立法府の活動に一方的に制約を課すなど、国会を「国権の最高機関」と明記した憲法をふみにじるものです。

 憲法62条は、「両議院は、各々国政に関する調査を行い」、「証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」としています。これを受け国会法104条1項は政府に対し、「(国会が)必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない」と明記しています。政府が求める条件に従わなければ「特定秘密」を国会に提出しないというのはまさに本末転倒です。

 秘密会では、国会議員が「行政機関の長」から提供を受けた「特定秘密」を秘書や所属政党の役員に報告し、議論することもできなくなります。万が一、国会議員が「特定秘密」を漏洩(ろうえい)すれば、5年以下の重罰が科される恐れもあります。国会の国政調査活動が大きく損なわれ、立法権そのものが侵害されることは明らかであり、議会制民主主義を守るためにも秘密保護法案の成立は許されません。

強行は国会の「自殺行為」

 国会の基本的な活動に関わる秘密保護法案を、衆院では与党の自民、公明の与党と「修正」に合意したみんなの党がまともな審議もおこなわず可決しました。参院でも強行が繰り返されれば、それこそ国会の自殺行為になります。

 参院本会議での質問で日本共産党の仁比聡平議員が「政治的立場は違っても、国民を代表し行政権力に迫ってこそ、国会議員ではないか」と訴えて大きな反響を呼びました。国会内外の力を結集し、希代の悪法を葬るべきときです。


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