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2013年11月29日(金)

全国一律 最低賃金制導入へ

ドイツ 連立政権協定に明記

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 ドイツのキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)が27日合意した連立協定に、全国一律の法定最低賃金制を導入することが明記されました。これは長年、同国の労働組合が要求していたものです。ドイツは欧州連合(EU)の中で最低賃金制がない数少ない国の一つだっただけに、注目されます。(片岡正明)


時給8.5ユーロ(約1180円)15年から段階的に

富裕税は見送り

 協定では全国一律の法定最低賃金を時給8・5ユーロ(約1180円)と定め、2015年から段階的に導入を開始。17年1月から全面実施します。

 協定にはさらに、▽派遣労働者が9カ月を超えて同じ職場にいる場合、正規労働者と同じ賃金に引き上げる▽年金受給開始年齢(67歳)を見直し、45年以上働いた労働者は63歳とする―ことなどが盛り込まれました。

 一方で、SPDが主張していた富裕税の導入は見送られました。

 同協定はSPD内で、全党員投票にかけられ、承認されれば12月のクリスマス前に新政権が誕生する見込みです。

解説

背景に国民の要求

 ドイツ二大政党の連立協定に最低賃金導入が盛り込まれた背景には、国民の強い要求があります。

 9月の連邦議会選挙では、労働者の4分の1が「ミニジョブ」などの低賃金労働や非正規労働に携わり、貧富の格差と貧困層の長期化が社会で進んでいることが、大きな争点の一つになりました。

 結果はCDU・CSUが議席を伸ばしたものの、最低賃金制の導入など社会的公正を求めた左翼党、90年連合・緑の党、SPDの3党がそれを上回って過半数を占めました。

 ドイツでは、長年、産業別に使用者側と労働者側が労働条件や賃金を交渉し、労働協約で決めてきました。産別の労組と使用者側が決めた労働協約は、労組員以外にも適用され、最低賃金も法ではなく労働協約に基づいて決まっていました。

 ところが、産別の交渉に入る使用者側の団体から企業の脱退が相次いだことや、労働協約に入れない短期の低賃金労働者が増えたことから協約制度は弱体化。現在、旧西独地域で約6割、旧東独地域で約4割の労働者にしか影響を及ぼしていません。その中で、時給が3ユーロ(約420円)ほどしかないという職さえ生まれています。(片岡正明)


 ミニジョブ ドイツのシュレーダー前政権が導入した労働市場改革の一つ。月収450ユーロ以下の場合、労働者の所得税と労働者側の社会保険料が免除される制度。使用者側は年金などの社会保険料を若干負担します。アルバイトとして仕事に就くケースを想定して始めたものの、15時間の労働時間制限が撤廃され、時給の下限も廃止。このため急速に広まり、現在約750万人がこの制度の下で働いています。


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