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2013年11月25日(月)

イラン 核開発問題解決へ合意

打開求める国民 国際社会が呼応

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 イラン核開発問題の解決に向け、同国と国連安保理常任理事国(米英仏ロ中)に独を加えた6カ国が24日、「第1段階」の措置で合意しました。今後の世界の行方にも影響を与えるであろう合意の背景には、対話による経済困難の打開を求めるイラン国民の切実な願い、そして国際情勢の激変がありました。(カイロ=小泉大介)


 イラン核開発疑惑はいまから10年以上前の2002年、同国の反体制派が秘密の核施設の存在を暴露したことに始まります。

 翌年には国際原子力機関(IAEA)理事会が対イラン非難決議を採択。交渉によりイランは04年にウラン濃縮活動を停止しますが、05年に保守強硬派のアハマディネジャド大統領が当選した後に再開し、拡大・強化していきます。

 これに対し、国連安保理は06年に最初の経済制裁決議を可決して以降、毎年のように決議を採択し、欧米はじめ各国は独自の対イラン制裁にも乗り出しました。

経済困難は深刻

 イランをめぐる核交渉は行われたものの結果は出ず、世界第2位とも3位ともいわれる石油埋蔵量を誇るイランの貿易収入は激減し、貧困ライン以下で暮らす国民が05年の22%から現在は40%に達するとの調査もあります。とくに昨年以降、国民は通貨下落、高インフレ、失業増大の“三重苦”に見舞われてきました。

 この状況下、アハマディネジャド大統領の後継を決める今年6月の選挙で、「国際社会との和解と平和」を掲げた保守穏健派のロウハニ師が地滑り的勝利を収めました。9月には新大統領が1979年のイラン・イスラム革命以来30年以上の「宿敵」である米国大統領と電話会談するなど、実際に外交路線を大きく転換しました。

 今月3日には、イランの最高指導者である保守強硬派のハメネイ師が、6カ国との核協議を支持し、これに批判的な国内強硬派をけん制する演説を行う事態まで生まれました。

 イランの変化に国際社会も呼応しました。核兵器開発を断念させるためとして軍事攻撃の選択肢に固執するイスラエル政府は、協議での合意に執拗(しつよう)に反対し関係各国への働き掛けに躍起となりましたが、それは通用しませんでした。

本流は外交解決

 イランと6カ国との合意はあくまで「第1段階」であり、今後の包括合意に向けた道のりは紆余(うよ)曲折が予想されます。しかし今回の事態は、軍事ではなく外交努力による国際紛争解決が世界の本流となっていることを示しています。


合意内容の骨子

一、イランは、濃縮率5%を超えるウラン濃縮を停止し、濃縮に必要な設備を解体する

一、イランは、既に保有する濃縮率20%に近いウランを5%未満に希釈する

一、イランは、ウラン濃縮能力の向上に関わる行為を停止する

一、イランは、同国中部アラクの重水炉施設(建設中)の稼働に向けた行為を停止する

一、イランは、国際原子力機関(IAEA)による日常的な査察を受け入れる

一、6カ国(米英独仏ロ中)側は、一時的・部分的にイランへの制裁を緩和する。イランが合意に違反した場合、制裁緩和を取り消す

一、第1段階の期間中は、国連の制裁決議に違反する国々も含めてイラン制裁を継続する

一、6カ国側は合意後の6カ月間、イラン核問題の包括的な解決に向けた枠組みを話し合う。その後の6カ月間を通じて、6カ国側はイランの対応が平和的か否かを評価する


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