2013年11月25日(月)
主張
有期雇用
5年での雇い止めは違法行為
パートや契約社員、非常勤講師など有期雇用契約で働く労働者を5年で雇い止め(解雇)する動きが問題になっています。ことし4月に施行された改定労働契約法で、有期契約の通算期間が5年を超えたら、無期雇用への転換を求める権利が労働者に与えられました。そこで5年になる前に労働者を雇い止めしようという悪質、身勝手な経営者の動きが広がっているのです。これは法が定めた「無期転換ルール」を踏みにじるものであり、明白な違法行為です。
合理的な理由がない
コーヒーチェーン「カフェ・ベローチェ」で3カ月更新で10年近く働いてきたアルバイトの女性が、明確な理由なく更新を打ち切られ、労働組合に入ってことし7月、雇い止め撤回を会社に求める裁判を東京地裁に起こしました。突然の雇い止めは、改定労契法による無期雇用への転換を回避するための違法行為だと主張しています。
一方、早稲田大学で3月、大学側が非常勤講師の契約更新の上限を5年にする就業規則を一方的につくり、講師に送付する問題が起こりました。100人を超える講師たちが組合をつくって反対のたたかいに立ち上がっています。
このような非正規雇用の労働者を雇い止め不安に追い込む経営者の動きが広がっているのは、放置できない大問題です。改定労契法で、有期契約の通算期間が5年を超えた労働者を無期雇用に転換させる仕組みをつくった本来の趣旨は、雇い止めの不安解消、期限の定めのない雇用に移行する道を開くことにあります。昨年8月に厚生労働省が出した通達でも「有期労働契約の濫用的な利用を抑制し労働者の雇用の安定を図ること」と明記しています。
有期労働契約の「濫用的な利用」というのは、一時的・臨時的でない恒常的な業務で、本来なら正規雇用でおこなうべきものを、低賃金で解雇しやすい有期雇用労働者でまかなうやり方をいいます。それを抑制するための改定法が、逆に雇い止め不安を広げる事態は何としてもくい止めなければなりません。
改定法の「無期転換ルール」は、もともと法案の段階で重大な弱点が指摘されていました。5年に達する前に経営者から雇い止めされる危険があることはその一つでした。労働者が「転換権」をもつまで5年という期間も長すぎます。政府、厚労省は、法の弱点をくぐろうとする経営者に対して強い態度で対処すべきです。無期雇用に転換したくないからと、就業規則に契約上限を盛り込んで雇い止めの根拠をつくろうというやり方は絶対に認められません。合理的な理由がない雇い止めは、明らかな改定法違反です。
正規雇用への転換を
日本で非正規雇用の労働者が3割を超えて増えています。雇用は正社員が当たり前、という雇用政策への転換が急務です。改定法の「無期転換ルール」は、その第一歩です。これが経営者によって踏みにじられ、「5年雇い止め」が常態化することになれば、雇用不安が増すことが避けられません。
政府は、国会に提出した国家戦略特区法案に、技術者などの無期転換ルールの適用除外の検討を盛り込みましたが、労働者の権利を奪うものです。正規雇用への転換を決断すべきです。