2013年11月19日(火)
南米チリ大統領選 中道左派、大差で1位
右派と決選投票へ
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【サンティアゴ=菅原啓】南米チリの大統領選挙が17日に実施され、新自由主義政策の下で拡大する不平等の是正などを訴えた中道左派連合「新多数派」のバチェレ前大統領が他候補に20ポイント以上の大差をつけて第1位となりました。当選に必要な過半数の得票には届かなかったため、第2位につけた右派連合のマテイ候補との間で12月15日に決選投票が行われます。
中央選管の発表(開票率96%)によると、バチェレ候補の得票率は約47%。マテイ候補は約25%にとどまりました。
バチェレ氏は午後8時半過ぎ、首都サンティアゴ市内に設置された特設ステージにピンクのスーツ姿で登壇し、1回の投票で当選することは「難しかった」が、「私たちは大差をつけて勝利した」と宣言。国立大学の無償化、企業への課税強化などの公約の重要性を改めて強調し、「この国は私たちの提案に支持の票を投じた」と述べました。決選投票でも「ともに勝利しよう」と呼びかけると、詰めかけた数千人の支持者から歓声が上がりました。
6カ月の娘を抱いて盛んに拍手していた露天商の女性アンドレア・グティエレスさん(28)は、「バチェレが勝って本当にうれしい。この子のためにも教育の改革を必ず実現してほしい」と語っていました。
一方、マテイ候補は結果判明後の会見で、企業への増税は経済に悪影響を与えると述べ、バチェレ氏の公約を厳しく批判。決選投票で勝利するために、他の大統領候補の陣営に協力を呼びかけました。
国会議員選挙も中道左派伸びる
大統領選と同時に行われた国会議員選挙でも、中道左派連合「新多数派」は、現有議席を上回ることが確実な情勢です。
同連合に参加するチリ共産党は現有3議席から6議席へ倍増するとみられています。同党の幹部で、2011年に学費無償化を求めた大規模デモを組織したチリ大学生連合の指導者だったカミラ・バジェホ氏もサンティアゴ首都圏の下院選挙区で約40%を得票し、当選を果たしました。