2013年11月16日(土)
NHK経営委員
“他国が攻めてきたら9条教信者を前線に送る”
作家 百田 尚樹氏の“見識”
8日に衆参本会議で承認された5人のNHK経営委員会委員の人事。その顔触れは、安倍晋三首相の応援団や家庭教師で固められた「お友達人事」でした。
その中の一人、作家の百田尚樹(ひゃくたなおき)氏が13日に経営委員の辞令を受けた際、記者団から質問されました。首相と近い間柄を問われ、「(就任に当たり)総理とは一言も話していない。そんなに近くない」と語りました。
百田氏はそれでもおさまらなかったのか、同日の自身のブログで「彼らは経営委員の仕事や権限がどんなものか知ってるのだろうか。彼らに教えてやりたい。経営委員が番組制作に口出したり介入したりなんか、まったくできないんだよ!」とぶちまけています。
百田氏といえば人気小説家です。しかし、ブログで「もし他国が日本に攻めてきたら9条教の信者を前線に送りだす。そして他国の軍隊の前に立ち、『こっちには9条があるぞ!立ち去れ!』と叫んでもらう」などと憲法への冷笑を繰り返し、テレビ番組では改憲に反対する人たちを「妄想平和主義者」と呼ぶなど、特定の立場を鮮明にしてきました。
さらに、昨年の自民党総裁選で「安倍総理」を誕生させるための「有志の会」の発起人に、名前を連ねていました。今回経営委員に承認された哲学者の長谷川三千子氏も発起人の一人です。首相と「そんなに近くない」どころではありません。
経営委員が番組に介入できないのは当然です。しかし、番組制作をつかさどる会長の任免権を持つうえに、2008年の放送法改定で経営委員会の権限が強化されました。委員には政治権力から自立した関係と資質がいっそう厳しく問われることを、百田氏は理解しているのでしょうか。
13日付のブログで百田氏はこう続けています。「NHKが日本の国営放送局として国民のためになる番組や報道を提供できる放送局になれば素晴らしいことだと思う」。NHKは国民の受信料で成り立つ公共放送であり、断じて政府ヒモつきの「国営放送局」ではありません。早くも百田氏の委員としての資格が問われています。(佐)