2013年11月16日(土)
きょうの潮流
「私たちは特定秘密保護法案に反対します」という横断幕を手にずらりと並んだキャスターら8人。みんなテレビでおなじみの人です。励まされると同時に、そこにNHKの人がいないことが残念でなりません▼日本民間放送連盟(民放連)は、6日に開かれた全国大会でも井上弘会長が秘密保護法案について言及。「知る権利と取材・報道の自由は民主主義の要であり礎であります。毅然(きぜん)とした姿勢で報道にあたっていただき、広く国民的関心と議論を喚起していただきたい」と各社に要望しました▼一方のNHKはどうか。会長はもちろん、労働組合も「音なし」の構えです。放送関係者や市民でつくる「放送を語る会」のモニター結果を見ても、秘密保護法案のNHKの報道は民放に比べて及び腰です▼安倍晋三内閣の意向を推察して既に報道の自粛が始まっているのではないか。そんな声も聞かれます。先ごろ国会同意人事で承認されたNHK経営委員は皆、安倍首相の“側近”でした。憲法否定・国防軍保持論者、復古主義者…。思想的偏りは否めません。経営委員会が権力の代弁者になりかねない事態です▼安倍首相は2001年の「慰安婦」問題を扱った番組でも介入して番組を変えさせた実績を持っています。NHKはいまだに政治圧力を否定しています▼ならば秘密保護法案も「毅然とした姿勢で」報道にあたるべきでしょう。「健全な民主主義の発達に資する」(放送法)という放送の使命は公共放送こそ担っているはずです。