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2013年11月14日(木)

主張

生活保護の改悪

“違法の合法化”は絶対ダメだ

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 安倍晋三政権が提出した生活保護改悪2法案が参院本会議で、自民、公明、民主、維新、みんな、生活などの賛成多数で可決され、衆院に送付されました。日本共産党と社民党は反対しました。国民の生存権を保障する生活保護制度の根幹にかかわる大改悪を、短時間審議で強行したことは重大です。制定後初の生活保護制度の大改定をこんな乱暴なやり方で行うことは許されません。早期成立などもってのほかです。衆院で徹底審議し、廃案にするしかありません。

扶養の強制で申請させず

 2法案は今夏の通常国会に提出されたものの、廃案に追い込まれたものです。親族の扶養を事実上強制するなど、保護を申請する国民の権利を制限することなどに強い批判が広がったためです。こんな法案を再び持ち出し、強行すること自体、許されないことです。

 参院先議となった今国会の審議で、日本共産党の小池晃副委員長の追及などで法案の危険性が一段と鮮明になりました。長野市で、生活保護を申請した男性の姉に“扶養を生活保護の前提にする”との文書と、姉の収入・資産を調査する用紙が送りつけられていたのです。給与明細、ローン返済予定表のコピー添付まで求められました。弟は姉に配慮して、保護申請をあきらめてしまいました。

 現在の生活保護法は、親族の扶養を生活保護受給の前提にしていません。長野市の対応は明らかに違法です。多くの自治体で横行していることも明らかになり、厚労省は是正通知を出しました。ところが扶養が保護の前提であるかのような調査書見本を2000年当時厚生省が作成し、全国の自治体に通知していたことが判明しました。違法対応を厚労省が“奨励”していたとすれば重大です。

 厚労省は“扶養義務は無限定に強制しない”といっています。しかし、違法対応がこれだけ広がっている実態からは、そんな弁明はなんの保障になりません。法改悪でお墨付きを得た自治体が扶養義務要求をさらに強め、保護申請すらさせない「水際作戦」が続発する危険があるのは明らかです。

 改悪案は、現在は口頭でも受け付けている保護申請について、文書申請と給与明細などの提出を義務付けることを原則にする条文まで盛り込んでいます。文書をそろえられない人たちを排除するやり方です。保護を必要とする人を締め出す違法を「合法化」する改悪など絶対に許されません。

 生活保護法改悪案と一体となっている生活困窮者自立支援法案は、生活保護の前に就労を優先させる仕組みです。奈良市長は「安易に生活保護を受給する方を水際で止める」と明言しています。救いを求める手を行政がはねのけ、餓死や孤立死を引き起こしかねない2法案は廃案以外ありません。

安全網の強化こそ急げ

 安倍政権は、生活保護の大改悪にとどまらず、医療・介護・年金・子育ての制度改悪にむけた「社会保障改悪プログラム法案」の強行も狙っています。大企業の成長や競争力ばかりに熱中する一方、社会保障の解体をすすめる冷たい政治には大義も道理もありません。

 国民の連帯と共同の力を大きく広げ、憲法25条が明記する国民の生存権を保障し、国民の暮らしと福祉を守る政治へ転換することこそが重要です。


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