2013年11月13日(水)
カジノ合法化へ総会
自・公・民・維など超党派議員
今国会に推進法案提出へ
刑法が禁じる賭博場・カジノの合法化を目指し自民、公明、民主、維新など超党派の国会議員がつくる「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議連、会長・細田博之自民党幹事長代行)が12日、国会内で総会を開き、カジノ推進法案を今国会に提出することを決めました。
総会ではカジノ推進法案要綱と、同法施行後1年以内に政府に整備を求めるカジノ実施法案の「考え方」を確認。国が地方自治体の申請を受けてカジノ設置区域を認定し、地方自治体が民間事業者を指定するという民設・民営カジノの枠組みとなっています。
世論の反発を意識し、内閣府の外局に「カジノ管理委員会」を新設、査察官制度を立ち上げるなど「規制策」をもりこみ、カジノからの納付金の一部をギャンブル依存症対策にあてるとしています。
細田会長は「機は熟した。6党共同提案で今国会に法案を出し、来年の通常国会で成立させたい」とあいさつ。民主・前原誠司元代表、維新・小沢鋭仁国対委員長、公明・遠山清彦国対副委員長、みんな・藤巻幸夫参院議員、生活・鈴木克昌代表代行が各党を代表して発言。「一つの起爆剤としてカジノ実現を」(前原氏)、「個人としては推進だが、党内にはいろいろな意見がある」(遠山氏)などとのべました。
総会には国会議員本人61人が出席、秘書の代理出席は112人でした。
解説
否定できぬ社会的害悪
「公営カジノを考える会」が自民党内に発足(2001年)して以来10年余、国政の場で繰り返し狙われてきたカジノ合法化の動きは、超党派カジノ議連の法案提出決定で、新たな段階を迎えました。
カジノには、青少年への悪影響、犯罪の誘発、組織犯罪集団の介入など、社会への悪影響が強く指摘され、合法化の動きは失敗を重ねてきました。そこで今回、推進派は「厳格に管理して行うカジノなら、弊害よりも得られる利益が大きい」という主張を前面に立てています。
そのために▽内閣府に「管理委員会」を設置▽査察官制度(カジノ警察)の創設▽免許制度による事業者、従業員の管理―などの方策をならべました。こうした対策をあげざるをえないこと自体、カジノがどれだけ大きな害悪を社会にもたらしかねない危険な施設であるかを、推進派が否定できないことを示しています。
カジノの収益を「ギャンブル依存症対策にあてる」としたことも異常です。パチンコをはじめとする賭博にのめり込み、社会生活が送れなくなるギャンブル依存症の被害は深刻です。医療関係者や市民団体による対策が行われていますが、これを強力に推進することは国の責務です。カジノという新たな賭博の合法化と絡めて議論するような問題ではありません。
「国際観光振興」「経済活性化」「文化芸術財源」など、推進派があげるカジノの「利益」はいずれも根拠に乏しく、今後の国民的議論のなかで、厳しい批判にさらされることは避けられません。(竹腰将弘)