2013年11月5日(火)
広範な国民の人権を侵害
――これが本紙入手の自衛隊内部文書だ
配偶者だけでなく親族も調べろ/入隊までの学歴・職歴全部書け
友人の情報を書け。相手にはさとられるな/過去・現在の所属団体を教えろ
身上明細書の記入要領
政府が今国会で成立を狙う秘密保護法案では、公務員か、民間人かを問わずに秘密をあつかっていい人物かどうかを身辺調査する「適性評価制度」が盛り込まれています。この制度を先取りして2009年から国が行っている「秘密取扱者適格性確認制度」について、本紙は防衛省・自衛隊による身辺調査の実態を明らかにし、広範な国民のプライバシーを侵害する危険性を指摘してきました(1日付1面)。本紙が入手した自衛隊の内部文書「身上明細書」の記入要領を紹介します。
1 全般的な留意事項
(1) 電子データによる入力の際は、別フォーマットに入力し、第11項の同意書欄並びに末尾の年月日及び署名欄は自署すること。
(2) 自筆の場合は黒色又は青色のペン(ボールペンを含む。)を使用し、丁寧に記入すること。
(3) ふりがな記入欄には、漢字に対するふりがな(県名の場合省略可)を漏れなく記入する。また、これに限らず固有名詞で読みにくいものは、ふりがなを付ける。
(4) 住所記入欄には、郵便番号及び住所を県名から記入する。
なお、番地等の略式は可とする。
記入例1:○○県○○市)○○丁目○番地○○号
記入例2:○○県○○市○○―○―○○(なお、番地がない場合は「番地なし」と記入
(5) 配偶者、親族又は同居人が、元外国人の場合は、当該元外国人の旧国籍及び旧姓名を記入する。
(6) 各欄に該当事項がない場合は、「なし」と記載する。
(7) 記入欄が不足する場合は、別紙を添付する。
なお、当該別紙の様式は、申請者が身上明細書に準じたものを作成し使用する。
(8) 誤記により修正する場合は、二重線を引き、本人の署名欄において押印した印鑑を押印する。
2 身上明細書における各項目の記入要領
項目 |
細部記入要領 |
|
申請者は、「A・B」欄及び「受付年月日」欄を記入しない。適格性確認者補助者が記入 |
1 |
(所属(配置)、官職・階級等、認識番号等、入隊(省)年月日)
所属は課まで、( )内は適格性確認者補助者が所属する単位まで記入する。 |
2 |
(氏名・生年月日・旧姓)
旧姓については、該当者は必ず記入する。 |
3 |
(現本籍地・旧本籍地)
現本籍地及び現本籍地の前の本籍地を記入する。 |
4 |
(帰化の有無)
申請者本人が帰化により日本国籍を取得した事実の有無及びその事実がある場合には、従前の国籍等、全て記入する。 |
5 |
(住所歴)
全般留意事項を参照し記入するほか、次のとおり。
(1) 住所歴は、身上明細書作成の日の現住所を最上段に記入し、以下10年前までの住所を遡って記入する。
なお、再申請者については、前回以降の変更分を記入する。
(2) 住所は、短期間の居住又は自衛隊入隊以後のものであっても記入する。
(3) 営内居住の期間のあった者は、住民票登録のあった住所を記入する。
(4) 海外勤務の期間があった者は、当該外国居住地の住所を記入する。 |
6 |
(学歴)
(1) 高校入学以降の学歴について記入する。
なお、高校入学以降の学歴を有しない者は、単に「中卒」とのみ記入する。
(2) 新規以外は、変化事項のみ記載する。 |
7 |
(職歴等)
(1) 中学卒業以降、入隊(省)するまでの間の学歴で記載した以外を本欄に記載する。学歴と職歴を通して、空白期間を生じないように記入する。
(2) 就職していない期間がある場合は、当該期間について家事手伝い、病気療養等具体的に状況を記入する。
(3) 新規以外は、変化事項のみ記載する。 |
8 |
(配偶者)
(1) 配偶者に関する事項を全て記入する。
(2) 同居の非扶養の子及びその家族等は、同居人欄に記入する。
(3) 内縁の配偶者も記入する。 |
9 |
(親族)
配偶者以外の者(扶養関係にない内縁関係者は含まない。)について記入する。
(1) 続柄の記入要領は、義父、義母、義姉等とは表現せず、妻の父、妻の母、妻の姉等と記入する。
(2) 記入に際しては、本人に問い合わせて確認してはならないが、努めて内容を記入する。
(3) 本人の兄弟姉妹で独身者は、続柄欄に「独身」と必ず記入し、結婚状況を明確に示す。
(4) 満16歳以下の者は、省略できる。 |
10 |
(同居人)
現住所に同居している家族、配偶者以外の者を記入する。 |
11 |
(海外旅行等)
(1) 16歳以降の海外旅行(防衛省公務を除く。)を記入する。
(2) 記入に際しては、手元にあるパスポートなどに基づき記入するなど、申請者が確認出来る範囲で内容を記入する。
(3) 申請者の出入国記録について、法務省入国管理局へ照会するため、第11項の同意書に署名、押印する。
(4) 新規以外は、変化事項のみ記載する。 |
12 |
(交友関係)
(1) 自衛隊員及び親族欄に記載した者以外の者で、「交友関係にある者で申請者のことをよく知る者」を記入する。外国人の場合は、外国人交友者欄に記入する。
(2) 記入に際しては、本人に問い合わせて確認してはならないが、努めて内容を記入する。
(3) 親密な関係にある親族欄記載対象外の親族を記入することができる。
(4) 関係・交友程度欄は、次により記入する。
ア 関係は「高校時代の同級生」、「釣りクラブの仲間」のように記入する。2親等以外の親族の場合「父の弟」、「妻の母の妹」のように記入し、叔父、叔母等とは表現しない。
イ 交友交際の程度は、次の表の記号を記入する。
なお、複数の記号を記入してもよい。また、その他の場合は、程度の内容を簡単に記入する
1 |
家族ぐるみの交際 |
4 |
年に数回会う |
2 |
運動等の同じクラブに所属 |
5 |
交際中(異性) |
3 |
帰省時に会う |
6 |
その他(程度の内容を記載) |
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13 |
(外国人交友者)
(1) 交友関係のあるもの(公務上の知人含む。)を記入する。
(2) 記入に際しては、本人に問い合わせて確認してはならないが、努めて内容を記入する。
(3) 関係・交友程度欄は、第12項第4号に準じて記入する。 |
14 |
(負債)
住宅ローン、自動車ローン以外の銀行、組合等からの借入、融資、月賦購入等の負債について記入する。
消費者金融その他の負債について記入する。 |
15 |
(所属団体)
政治、経済等の団体及び出身学校関係の親睦団体からスポーツクラブその他あらゆるものについて、現在過去を問わず記入する。 |
16 |
(刑事処分)
懲役、禁錮(こ)、拘留、罰金、科料、没収の事実について該当事項があれば記入する。
※ 罰金は、交通反則金(比較的軽微な違反で反則金納付書に基づき、反則金額を納付する場合)は含めない。 |
17 |
(アルコールを原因とする治療又はカウンセリングの有無)
アルコール依存症又はそのおそれがある状況(医師の診断がある場合に限る。)のほか、アルコール依存に関する治療を受けた経験がある場合は、その時期及び治療の有無等を記入する。 |
18 |
(薬物濫用を原因とする治療又はカウンセリングの有無)
薬物濫用(法令の規定により禁止されている麻薬、大麻、あへん、覚醒剤その他の薬物の所持、使用、栽培、採取、製造、製剤、交付、輸入、輸出、譲渡、譲り受け若しくは売却又はその服用が禁止されていない依存症のある薬物の通常必要な量を超えた量の服用をいう。)の有無について記入する。 |
19 |
(精神面を原因とする治療又はカウンセリングの有無)
アルコール依存症を除き、精神障害又はそのおそれがある状況(医師の診断がある場合に限る。)のほか、精神障害に関する治療を受けた経験がある場合は、その時期及び治療の有無等を記入する。 |
その他 |
(書類の添付)
身上明細書に、(1)パスポートを保有している者については、パスポートの写し(白紙部分を除く全ページ)及び(2)配偶者が外国人の場合は、外国人登録証の両面の写しを添付する。
また戸籍謄本、全事項証明の写しの添付を推奨する。 |
(本人署名欄)
記載した年月日を記入し、署名押印する。本欄の訂正は認めない。 |