2013年11月4日(月)
「改革」装い国会改悪 安倍内閣
徹底審議の場にこそ
|
安倍政権・自民党は、「国会改革」と称して、首相・閣僚の国会出席を制限し、海外訪問などに時間を割けるようにする国会「改悪」を進めようとしています。10月31日の与野党書記局長・幹事長会談で、自民党の石破茂幹事長は「国会対策委員長間で協議を行い、成案の得られたものから実行に移す」としました。
監視機能の弱体化
自民・公明の「国会改革」案は、首相の出席を党首討論と予算委員会に限定し、出席に上限を設けるものです。「総理が国会に出席する日数が、日本は極めて多い」「外国に出て日本国の立場を述べねばならない」(石破氏)というのが、その理由です。
しかし、現在でも首相は主要な国際会議には出席しています。
憲法は「内閣総理大臣その他の国務大臣は…答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない」(63条)、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ」(66条)と定めています。
内閣が提出した法案や政府の基本政策にかかわる問題は、行政府の長たる首相が国会に出席したうえで、国会に対してしっかり説明し、責任を負わなければなりません。出席を制限すれば、国会が持つ政府・行政への監視・監督機能の弱体化に直結します。
ただでさえ、消費税増税など重大な国政問題を自民・公明・民主だけの「密室談合」で決め、国会審議を形骸化させてきた経過があります。国会審議をいっそう骨抜きにし、国会を政府の追認機関につくりかえるのは、「改革」を装った「改悪」そのものです。
自民党は、首相の国会出席を制限する一方で、「党首討論の充実」を唱えます。しかし、行政を監視・監督し、国民の前に問題点を明らかにする質疑と、政治家同士の討論では質が異なります。てんびんにかけるような話ではありません。
国会運営上の暴走
立法府の機能を弱める「国会改革」は、現実に“先行実施”されています。安倍政権が「成長戦略」の柱に位置づける産業競争力強化法案が審議入りした10月29日、首相は原発を売り込むためトルコ訪問を優先させ、衆院本会議の質疑を欠席しました。主要な国際会議の出席でもなく、国会開会中の平日に外遊するのは異常です。「国権の最高機関」(憲法41条)である国会を軽んじる政府の思い上がりが表れています。
消費税増税、放射能汚染水・原発再稼働、集団的自衛権の行使―。国会審議を通じて安倍政権の暴走政治に監視の目を光らせないといけない時期に、首相を隠す「国会改革」を持ち出すのは国会運営上の暴走です。
「改革」というなら、国民の意見を反映し、政府・行政を監視・監督するための国会機能をより強化する「徹底審議の国会」に是正すべきです。
(竹原東吾)