2013年10月31日(木)
社保審部会 特養締め出し見直し
世論に押され 認知症など除外
厚労省は30日に開かれた社会保障審議会介護保険部会で、特別養護老人ホームの入所者を要介護3以上の中重度者に限定し、要介護1、2の高齢者を締め出す方針について、常時の見守りが必要な認知症の場合などは入所を認める考えを示しました。「介護の必要な高齢者を路頭に迷わせるのか」との世論と運動に押されて、見直しをせざるをえなくなったものです。
厚労省は、特養ホーム入所待機者が42万人にのぼることを理由に、「中重度者に重点化する」として要介護3以上に制限することを提案。これに対して、審議会に委員を出している「認知症の人と家族の会」や全国老人福祉施設協議会などが「セーフティーネットが失われる」と強く反対し、全国各地に撤回を求める運動が広がっていました。
厚労省は、要介護1、2でも「やむを得ない事情により、特養以外での生活が著しく困難であると認められる場合」、入所を認める考えを示しました。
認める具体的事例として、▽認知症で常時見守り・介護が必要▽知的・精神障害があり地域での生活が困難▽家族の支援が期待できない▽家族による虐待が深刻―などをあげました。
すでに入所していたり、制度見直し後に入所した高齢者が、状態が改善して要介護1、2となった場合でも、「特養以外での生活が著しく困難」な場合などは継続して入所できることを示しました。
入所制限の見直しについて厚労省は「特例」としており、入所制限そのものを撤回させることが焦点となっています。